内容説明
誰もがそうとは言わないが、親とは二回、別れがある。
一度目の別れは、子どもが実家を出ていくとき。
二度目の別れは、親がこの世を出ていくときだ。
2020年8月。コロナ禍の中、
がん終末期で入院中の母・久仁子(くにこ)は、
72歳の誕生日をどうしても自宅でお祝いしたいと願う。
痛い、苦しいと言ったら、
一時退院の許可が下りないかもしれないと考え、
最後の力を振り絞る。
久仁子は、一切の延命治療を拒否。
尊厳死宣言書を残し、自分の最期を決めていた。
まだ生きていてほしい。だけど……
旅立つ本人の希望を、
息子は、夫は、どのように受け入れたのか?
親が死ぬのはずっと先のことだと思っていた。だけど、その日は容赦なく訪れる。
そのときどんなお別れができるだろう? 僕は、この世から心のこりをなくしたい。
田村淳が渾身の思いで綴った、母との別れの物語。
慶応義塾大学大学院2020年度修士論文も一部抜粋して収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
90
予めお断りですが、僕はお笑いバラエティを殆ど観ないので、ご承知おき下さい。つまり、田村さんと同じ歳として母親への想いと看取りをお読みしたのみという事です。僕はもう既に父を亡くし25年。母も認知症が入り、家族の主体が移り変わってしまっているので見方が違うかもしれませんが、親との別れはやはり涙無しには読めませんね。そして、田村さんのお母様の手術・延命治療拒否ということ、死に対する貫き方や人生の片付け方に感ずるものあり、それを受け止める田村さんの気持ちが滲みます。親には感謝してもし足りないことを改めて感じました2021/09/11
sayuri
90
あっぱれ!淳さんのお母様の生き様はこの一言に尽きる。看護師さんだった事もあり、病に侵される数十年も前から延命治療はしないと心に決めていた母ちゃん。がんを宣告された後もその気持ちは揺るがず。『介護・告知について』などの病気に関する書面から、お葬式の方法や遺影写真、棺に納めて欲しい物、果ては淳さんが大好きな味噌汁の味噌のレシピまで残し、準備万端でこの世を去った母ちゃん。その時々の母ちゃんの時間を想い涙が止まらない。フラフープ動画を残した母ちゃんの優しさには胸が詰まる。人のあるべき姿を教えてくれる人生の道標本。2021/08/09
夜長月🌙新潮部
68
ロンブーの淳が本を書くとは。それも普通のエンタメではなくちょっと学術的な作品です。テーマは遺書。死を目前にして書くのではなく残る人への手紙としてまた自分の人生の振り返りとして早い時期に書くのも良いのではないかと思えました。そして毎年見直して、修正したり書き加えたりすればいいのだと。そうするとより前向きに生きる意味を考えられそうです。そういえばエンディングノートが書きかけになっているのを思い出しました。尊厳死や葬式についてはもう決めている事がありますが棺桶に入れてもらう本など他にも書くべき事がありそうです。2021/12/12
しゃが
61
ロンドンハーツの淳さんのお母さんの発病からの話。お母さんは治療、緩和ケア、お別れの仕方を強い意志で決められていた。その意思を家族が理解し、その生きかたを全うするために悩みながらも温かく支え続けた経過が語られ、その後の田村さんのライフワークにも繋がっていく…。葬儀関連そして箪笥に肌着1枚も残っていなかったというお母さんの思いに強くひかれ、終活をしている身としては考えさせられた。が、遺された家族の思いはどうなんだろう、もう少し能天気ぽっく、家族に託してもいいのかもしれない。生まれるときもお世話になったように…2021/07/31
モモ
59
冒頭プロローグの淳さんと母の最後の対面の場面に涙がとまらない。母にとって最後の帰宅で明日には病院で痛み止めのモルヒネで眠ったままになる。でも、こうして亡くなる前に思い残すことなく話せるのは幸せな気がする。母にとって息子である淳さんは大きくなっても、やっぱり子どもで、亡くなる前に「ようやく反抗期が終わったな」と語っていたのが、また泣ける。死ぬ前の色々な準備は、かくありたいと思えるものでした。2021/09/15
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