内容説明
幕末の八丁堀界隈で、産婆を志し奮闘する結実の物語。出産で亡くなる母子が今よりもずっと多かった時代、お産はまさに命がけ。命が生まれる現場で葛藤しながら、成長していくひとりの女性の姿を描く感動作。書き下ろし時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
40
幸せなお産からそうでないお産まで。結実の成長も楽しみ。2023/11/14
kagetrasama-aoi(葵・橘)
39
「結実の産婆みならい帖」第一巻。幕末に産婆になるために修業をする女性(名前は結実、年齢は二十一歳)の物語。当時としては婚期をかなり過ぎている結実、でも、産婆の修業をしつつも恋もちゃんとしています。命をあずかる産婆という職業に真剣に向き合い葛藤する姿に涙が零れそうになりました。章ごとにお産があり、本当にそれぞれに赤ちゃんと家族の物語があり、温かい気持ちになったり辛い気持ちになったりしました。とても面白かったです。次巻も楽しみです。2023/11/04
のびすけ
30
産婆見習いの結実は、日々お産と向き合い、一人前の産婆さんになることを志す。結実が経験する喜びや悲しみ、悩みや葛藤。それらを糧に成長する結実の姿に心打たれる。命がけでお産に向き合う女性たちの前では、男はほんとしょうもない生き物だということを思い知らされる。この時代のお産事情、子育て事情、産婆さんの役目などとても興味深く面白かった。結実の恋の行方も、微笑ましい終わり方で良かった。2021/09/28
のんちゃん
29
幕末の江戸八丁堀界隈の診療所の娘、結実は祖母真砂のもと、産婆見習いをしている。同年代の同僚すずと三人で、この界隈のお産に臨場し、多くの赤ん坊を取り上げてきた。お産は今も昔も命懸けだが、その背景には子を生む女達のいろいろな事情があった。そんな中で結実は一人前の産婆に近づいていく、と言う話。初読みの作家さんだったが、非常に読みやすく、時代小説は女流作家さんが好きと言う私の好みが立証された。結実と結ばれて欲しい男性もいて、続編が出ないかと期待している。2021/09/22
ベローチェのひととき
14
幕末のお産を描いた7編からなる連作短編集。安政の大地震で身重だった母を亡くし、12歳で産婆になることを決意した結実が主人公。現在21歳で、師匠の真砂と1歳年上の同僚のすずと3人で出産に携わっている。江戸時代の出産は命懸けだったんだなとつくづく思った。やっぱり赤ちゃんが元気に生まれてくるのは胸が熱くなる。本当に良かった。2021/10/02