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内容説明
<目次>
はじめに 下剋上の特質は何か
第一章 長尾景春の叛乱と挫折
第二章 伊勢宗瑞の伊豆乱入
第三章 朝倉孝影と尼子経久の困難
第四章 長尾為景・景虎(上杉謙信)の幸運
第五章 斎藤利政(道三)の苛烈
第六章 陶晴賢の無念
第七章 三好長慶の挑戦
第八章 織田信長から秀吉・家康へ
おわりに 下剋上の終焉へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
92
下剋上とは単に権力欲に憑かれた一族や家臣が起こした主殺しではなく、反乱に正当な根拠があったり逆に主君が家臣を手討ちにした例もあったのを初めて知った。主殺しより主追放の事例が多く、主君を討ったら必ず代わりの傀儡を擁立するなど下剋上の内実を詳しく分類している。そうして成り上がった戦国大名が権力正当化のための権威や名誉を室町幕府を通じて求めたことが、実権を失った足利将軍家が存続していた理由とは。下剋上を重ね天下に迫った信長が下剋上に倒れ、続く秀吉と家康も下剋上で天下を取った過程は戦国期理解の新たな補助線となる。2021/07/19
skunk_c
71
「あとがき」にもあるように、下剋上そのものをテーマにした書籍ってありそうでなかった。そういう意味で戦国時代の下剋上について、ひとつについて25ページ程度にまとめながら、ほぼ時代順に取り上げてあるので、極めてコンパクト。系図も入っており理解の助けになった。身分制社会の中で、その身分を超克することの難しさ、また非難の対象となる行為を正当化するための様々な動きなどを、整理しながらまとめてあるのでありがたい。それぞれのケースをより深く学ぶ入門書として、このコンパクトさは魅力的。実に新書らしい企画だと思う。2022/01/04
kokada_jnet
48
調べてみると「家臣が直属の主人を排除する」下剋上は事例としては多くなく。「主君を殺した例」はさらに少ない。という視点が新鮮。2021/07/17
獺祭魚の食客@鯨鯢
40
目上の立場の主家を殺害し取って代わる下剋上は、王朝の易姓革命と異なり大義名分がない世界。織田信長も守護代の立場から斯波氏に成り代わり、尾張から天下布武まで上り詰めた。 革新的かつ残虐というカリスマ性は、秀吉や家康と比較されることが多いが、後代の人間からは中世の暗黒を吹き払ったとされる。 同じ戦国大名である後北条氏、島津氏、毛利氏らの民政はあまり残虐性がクローズアップされないところを見ると、やはり信長の行動は日本人離れしている気がする。2021/07/04
kk
28
古い政治体制が新たなものへと変転していくに伴って流動化する社会秩序。その中で生じた下克上について、幾つかの典型例を取り上げて、その背景や機序などを概観しつつ、それらの共通点や相違点などを抽出して、下克上という政治的・社会的現象の歴史上の意義などを解き明かそうとしています。読み易い本ですが、然るべく深い洞察を感じさせるものがあります。ちなみに、職場では「ダラ幹」上等で何事も若い人達に任せっきりのkk、そのうちやり手の部下にやられてしまうんじゃないかと、ちょっと焦ってみたりもさせられました。2021/07/07




