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内容説明
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毎年、多数の理数系教員を全国に輩出している東京理科大学。東京理科大学特任教授(教職担当)、非常勤講師らが、長年にわたって学校で教鞭をとってきた実務経験に基づいて、理科の先生方の役に立てればと一念発起され、本書はできあがった。
理科離れがすすむなか、生徒の科学的思考力をしっかり育てたい。そんな願いを込めて本書は編集された。
科学は人類が3,000年かけて積み上げてきた学問。そこには、様々な自然事象を解析してきた科学者の努力があった。先人の理論を引き継ぎ、自分なりの解釈を加え、成果を後人に託して、科学という学問が成り立っている。今、生徒に指導する内容は、学問的背景から見ると、どんな意味があるのだろう。ここで学習する内容は、科学概念を形成する上でどんな位置にあるのだろう。こうした授業の根幹となる事柄を、本書では丹念に資料としてまとめている。
たとえば、冒頭では、「単位はどのように決められたのだろうか」といった、日常当たり前になっていることがらを疑うことで、歴史を学び、現在を知っていくことになる。生徒の科学的思考力を育むための工夫や新たな実験、日常生活の事例や先端科学等も多数紹介してあり、教員を目指す人や、小・中学校、高等学校の先生方には、学習に深みをもたらすまたとない参考書になるはずである。
また、時代を変えた科学者たちが、どのように事物・現象と対峙して「法則」を導き出したのか、このことについてもていねいに紹介してある。学校で使用する教科書では数行で完結してしまう「法則」には、科学者の苦悩や失敗、そして独自な発想があり、その後の科学発展に果たした大きな功績がある。このことを知るだけでも、「科学の魅力」が十分伝わることであろう。
本書は科学と暮らしを結ぶ最高の理科授業メソッドなのである。
目次
巻頭言 藤嶋 昭
はじめに
第1章 理科指導の基本
第1節 単位に関する基本知識
1 国際単位 2 長さの定義 3 質量の定義
4 時間の定義 5 電流の定義 6 物質量の定義
7 熱力学的温度の定義 8 光度の定義 9 精度と誤差
10 単位や記号式の表し方
第2節 観察・実験に関する基本知識
第1項 観察・実験を安全に行うために
1 安全指導 2 薬品の取扱い方と保管 3 試薬の調製
第2項 基本操作
1 ガラス器具の扱い 2 ガラス器具の洗浄・乾燥・保管
3 ガスバーナーの使い方 4 ガラス管の工作
5 ゴム栓の穴の開け方 6 ろ紙とろ過
7 メスシリンダー、ホールピペット、ビュレット、メスフラスコ
8 上皿天秤・電子天秤 9 簡易版電解装置
10 顕微鏡 11 双眼実体顕微鏡
12 科学スケッチの技法 13 記録タイマー
第3項 ICT 関連機器の利用
1 コンピュータと計測用センサーの活用
2 計測用センサーを用いた授業での活用例
3 視聴覚機器の活用例 4 電子黒板の活用
5 自作ICT 教材の開発 6 ビデオやデジタル教材の活用
7 新型コロナウイルス禍でのICT 活用
第4項 探究的な活動
1 探究的な学習活動 2 探究的な学習活動の指導(中学校)
3 探究の過程を踏まえた学習活動(高等学校)
第2章 科学的思考力を育む授業
1 物理編
第1節 力と運動
1 古代ギリシャの科学者 2 理論と実験を重視したガリレイ(動力学の誕生)
3 ニュートン力学の誕生 4 重力と先端科学
第2節 熱
1 絶対温度に至るまでの経緯 2 熱の研究
3 熱の理論確立に迫る研究 4 熱と日常生活
第3節 音と光
1 音の研究と音の性質 2 音と日常生活
3 光の研究と光の特徴 4 光と日常生活
第4節 電気と磁気
1 電気・磁気の研究 2 電磁気理論確立に迫る研究
3 電気・磁気の先端科学
第5節 放射線
1 放射線の理論を確立させた科学者
2 放射線に関する基本事項
2 化学編
第1節 物質の性質
1 状態変化 2 溶解 3 状態変化と日常生活
4 物質の性質に関わる先端科学(光触媒)
第2節 化学変化
1 錬金術から化学変化へ 2 化学変化の規則性
3 化学変化と原子・分子 4 日常生活の中の化学変化
第3節 元素と原子
1 物質を構成する成分要素 2 元素の誕生
3 原子モデルの誕生 4 元素に関する先端科学
第4節 イオン
1 イオンの研究 2 酸とアルカリの研究
3 中和の研究 4 イオンの先端科学(リチウムイオン二次電池)
3 生物編
第1節 植物
1 植物の研究 2 光合成を利用した先端技術
3 光合成と葉緑体
第2節 動物
1 分類と進化の研究 2 動物の行動と分類
第3節 細胞
1 細胞の研究 2 再生医療への道
第4節 人体
1 人体の研究 2 消化と酵素の研究
3 血液と循環の研究 4 脳と神経の研究
5 人体の不思議 6 ウイルスとの闘い
4 地学編
第1節 地球
1 地球の誕生 2 鉱物や岩石の分類
3 地殻変動の証拠 4 鉱物の活用例
5 ジオパークに出かけよう
第2節 地震
1 大規模な造山運動や火山によってできた山脈や島の例
2 プレートテクトニクス 3 プレートの境界で起こる現象
4 プレートの動きと地震 5 地震と日常生活
第3節 気象
1 気象の研究 2 気象観測と天気予報
3 地球温暖化
第4節 宇宙
1 天文学と宇宙論 2 宇宙誕生の謎に迫る
第3章 代表的な24の実験と解説
物理編
1 ガリレイの斜面 2 重力加速度
3 運動の法則 4 力学的エネルギー保存則
5 ジュールの法則 6 気柱共鳴
7 ヤングの実験 8 オームの法則
9 電磁誘導10 放射線
化学編
1 物質の性質 2 化学変化の量的関係
3 ヘスの法則 4 中和滴定
5 ビタミンCの定量 6 イオン化傾向と化学電池
生物編
1 葉緑体 2 メダカの走流性
3 体細胞分裂 4 消化酵素
地学編
1 造山鉱物 2 プレートテクトニクス
3 地球温暖化 4 エルニーニョ現象
索引