内容説明
私たちは、現在もなお「無らい県運動」の社会を生きているのではないか――ハンセン病患者を地域からあぶり出し、住み慣れた故郷から終生出ることのできない療養所に追い込んだ、絶対隔離政策。戦前期、在宅の患者をことごとく療養所に送ることで、各県に「無らい」を競わせて始まった「無らい県運動」は、戦後日本国憲法の下でも消滅することはなかった。むしろ自治体や宗教界のみならず、地域社会すなわち隣近所の人々に患者の存在の摘発を強いた、過酷な患者囲い込み政策がより強まった。患者の人生を奪い、人権を踏みにじった「無らい県運動」の実態を明らかにし、現在もなお続くハンセン病元患者やマイノリティへの差別構造を考えるための書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Schuhschnabel
2
1930年代から戦後にかけて、シャバからのハンセン病患者根絶を目指した動きを無らい県運動と呼ぶ。なぜ無らい県「政策」ではないかというと、法律や条例に基づくのではなく、都道府県や地域住民による「自主的」な活動だからである。しかし、当然そこには厚生省や国立療養所関係者からの圧力が働いており、葛藤を抱える現場職員も中にはいた。それでも大多数の市民が疑問を抱かずに協力した理由について各論稿で検討されている。だが、遺伝病という従来からの理解に恐ろしい伝染病であるという理解が加わったという説明はいまいち釈然としない。2021/07/25
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