内容説明
借金、酒、猫、鉄道……。諧謔と機知に満ちた百間の随筆を、阿房列車シリーズに同乗した「ヒマラヤ山系」こと平山三郎が精選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
75
ドイツ語を教えていた時代の言葉への真摯さ、位牌を鍋で煮ながらも愛弟子の早世を惜しむ姿など、ユーモラスでありながらも人間としての寂寞感が漂うエッセー集。「ネコロマンチズム」は愛猫、ノラヤの失踪が未だに信じられず、ノラヤとの日々を綴ったエッセー、『ノラヤ』が未だに読めないという部分が百閒先生の愛猫への哀しみと愛の深さをしみじみと伝わります。そして布巾で包んで水に晒したおからにレモンを絞ったものとシャンパンとの組み合わせはいずれ、試したい!2021/11/04
たろさ
16
内田百閒は読めば読むほど好きになる。一瞬物凄く捻くれているように勘違いしてしまうがとても素直で真っ直ぐ。解説に室生犀星が『百鬼園随筆』をべた褒めしたとあり「…残念ながら僕等は気障になってこうはあかぬけしたものが書けない」とまで言わしめた。どれもこれも好みなのだが特に「舞台の幽霊」が良い。夢とはいえ突然現れる亡き知人。違和感なく一緒に歩き話す「ケブな晩ですなあ」。夢の中で目覚めたいと思う。心地よい不気味さが堪らない。2021/09/29
まさ☆( ^ω^ )♬
8
「阿房列車」でお馴染みのヒマラヤ山系君こと平山三郎氏により精選された18編の随筆集です。新潮文庫の「百鬼園随筆」に収録されているものと何本か被りがありますが、何度読んでも良いので気になりません。「ネコロマンチシズム」「アジンコート」は何度読んでも切なくなります。ユーモラスな描写の中にも哀愁が漂う珠玉の随筆集。読めば読むほど好きになります。2022/11/06
晶
5
10日間ほど家を空けている間に読んだ。私は旅のお供には必ず百閒先生にご同行を願うことにしている。淡々とした美しい文章の中に隠しきれない優しい人柄が滲み出ていて、飛行機の中、新幹線の中で「好きだ…」となっている。2023/09/27
ウミネコ
4
「阿房列車」でお馴染みのヒマラヤ山系氏編の随筆集ということで購入、昼休みにのんびり読了。まあ、安定の百鬼園随筆です。内田百閒という作家の素晴らしいところは若かりし頃から晩年までほとんど芯がぶれず「百閒先生」であるところだと思う。だから、割と安心してどの書籍も手に取れる。のんびりしたい昼休みの読書には個人的にうってつけ。本書は主に晩年の作品を集めたものとのこと。2022/09/07
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