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内容説明
東日本大震災から10年。なかでも108名のうち74名が犠牲となった大川小学校(宮城県石巻市)の事故は、「人災」とする遺族らによる長い闘いの末、2019年の最高裁決定で教育行政の「組織的過失」が認定された。
なぜ隣接する裏山へ子供たちは逃げられなかったのか?なぜ市教委の事後対応は遺族たちに不信感を与え、その後の検証委員会も遺族らの疑問を解明できなかったのか?
震災直後から現地でこの問題に取り組み、「組織的過失」を予見していた著者が、その「失敗の本質」を明らかにし、教訓からクライシスマネジメントのあり方を提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kayak-gohan
17
宮城県石巻市立大川小学校。北上川河口から3.7kmの場所に位置していた。2011年3月11日14時46分に発生した震度6の大地震によって発生した大津波は北上川を遡上し、この学校区域も呑み込んだ。その結果、逃げ遅れた70名の児童、11名の教職員が無くなり、4名の児童がいまだ行方不明となっている。本書は学校管理下で起きた戦後最大の惨事となった本件事故について本質行動学に基づくクライシスマネジメントの観点から検証している。2023/04/12
でじきち
6
◆マネジメント:望ましい状態をなんとか実現すること。適切な意思決定までの時間をいかに短縮させるかがクライシスマネジメントの肝。ルールが共有されていない中での空中戦は調整コスト大。マニュアルの本質的目的はパニック生じる前に迅速適切な意思決定の為。長々としたルールより、シンプルな大方針「津波警報が出たら裏山にすぐ逃げる」◆否定されても役職や組織のしがらみ離れ、個の勇気◆避難行動は生存行動。空振で万歳。信号と同じ◆人より組織を優先しない。クライシスマネジメントは人中心◆二次災害防ぐには被害者がどう捉えるか想像力2024/04/13
でじきち
6
論理的、心揺さぶられ、汎用的学びに満ちる。3回に分ける◆検証報告は自明原因でなく多角的丁寧な事実認定から真因を構造的明らかに。情報源明記。仕方なかったとしない。隠蔽に加担した人間を優遇しない。意見を求める姿勢だけ見せて反映させないのは無意味◆問題をすり替えない。住民が指示を間違えことでなく、教頭が何故住民に同意を求めたか。津波が目前に来てからよりも、来るまで何故意思決定が停滞したか◆確信が持てぬ時は悪い方の想定を採用◆倒木のケガと死ぬという異なる次元のリスクを混同しない。新方針は安全第一ではなくより命優先2024/04/13
Iwata Kentaro
6
著者献本御礼。読了までものすごく時間がかかってしまった。誠に申し訳ない。形式より本質、根っこまでの原因追求。クライシスマネジメントの原則。現在のコロナ対策でも大事な一冊。あと、学校と教育委員会の事なかれ体質とマニュアル主義、命を守る教育の重要性など、今も足りないことばかり。2022/01/14
moon-shot
5
人的要因も含めて悪いピースが揃ってしまった大川小学校のようなケースでも、本質的な原因を把握すれば、私達は今後同じ悲劇を回避することができる。そのための処方は、私達自身の胸に突き刺さってくる一面がありますが、それでもやらねばならない。全体を通して真摯に客観的態度を貫こうとする著者の態度に胸を打たれます。とは言え、事故の後処理を巡る後半は、さすがに著者の怒りが滲み出てきます。日本人は、普段は誇らしくなるほど賢明なのに、なぜ危機的な状況では時に愚かで破滅的な行動に走るのか。過去の話ではありません。今この瞬間も。2021/05/09
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