マイケル・ジェンセンとアメリカ中産階級の解体

個数:1
紙書籍版価格
¥3,080
  • 電子書籍
  • Reader

マイケル・ジェンセンとアメリカ中産階級の解体

  • ISBN:9784296000210

ファイル: /

内容説明

ポール・ローマー(2018年ノーベル経済学賞受賞)激賞!
 「もっとも大きなダメージをもたらしたのは、金融部門の規制緩和で、レマンは、この点を、20世紀後半にアメリカの金融部門を再構築するのに一役買ったエコノミスト、マイケル・ジェンセンのキャリアを描いた著書で明らかにしている」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2020NO.5)

経済は思想で動く。アメリカの資本主義は、GM,GEなどの大企業と連邦政府が渡り合う「組織の時代」から、モルガン・スタンレーなどウォール街の投資銀行が牽引する「取引の時代」、リーマン・ショックを挟んで、シリコンバレーに拠点を持つネット企業による「ネットワークの時代」へと発展してきた。
それぞれの時代には、その時代を特徴づけるアイデアを打ち出して、大きな影響を与えた人物がいる。
「組織の時代」は、企業の所有と経営の分離を唱えた『近代株式会社と私有財産』の共著者で経営学者のアドルフ・バーリ、「取引の時代」は、エージェンシー理論によって敵対的企業買収やレバレッジ経営、経営者への巨額報酬に理論的裏付けを与えた金融経済学者マイケル・ジェンセン、「ネットワークの時代」はLinkedIn創業者で「ブリッツスケーリング」を唱えたリード・ホフマンだ。

本書は、「取引の時代」を主導したハーバードビジネス・スクールの人気教授マイケル・ジェンセンのプリンシパル・エージェント理論とそれがいかに金融主導の経済につながったか、それが多くのアメリカ国民を巻き込んだリーマン・ショックをもたらしたかのストーリーを軸に、経済とそれを支える経済思想の関係を豊富なエピソードを交えて描いていく経済思想物語。

目次

序章  組織・取引・ネットワーク2034
 第1章 組織人間
 第2章 組織の時代
 第3章 取引人間
 第4章 取引の時代 勃興期
 第5章 取引の時代 衰退期
 第6章 ネットワーク人間
 終章  利益者集団による多元主義
 
解説 企業、金融、組織  藪下史郎(早稲田大学名誉教授)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

人生ゴルディアス

6
日本語訳タイトルはよく言っても的外れ。シカゴのとある地区とそこに住む人たちの変遷を軸にした、おおよそ100年くらいのアメリカ経済思想史、金融史、または政治史だった。大企業というものが勃興し、人の生活を支配し始めたと実感され始めた戦前、企業には社会的な役割も期待され、その役割を担わせるには企業を管理できるほど小さくするか、政府を大きくすればいい等、その時々の企業と政府、社会の関係が論じられている。著者はなんらかの公共善を追い求めることを放棄した多元主義とやらを提唱しているが、単なるニヒリズムではなかろうか。2021/11/19

Go Extreme

1
組織・取引・ネットワーク:組織人間かれあ取引人間へ 組織人間:進歩主義派のメンタリティ バーリとルーズベルト 政府権限の肥大化 組織の時代:社会契約としてのデトロイト協定 取引人間:ジェンセンと金融経済学 なぜ組織が必要か 効率的市場仮説との決別 取引の時代・勃興期:市民権を得たM&A市場 進む金融緩 デリバティブ取引をめぐる攻防 繁栄に向かって突き進む規制なき金融市場 取引の時代・衰退期 ネットワーク人間:ウォール街からシリコンバレーへ プリッツスケーリング 利益者集団による多元主義:利益者集団 2021/06/28

chiro

0
グローバル化と規制緩和が格差を拡大し、結果として多くの中間層が低層に動くという現象は日本でも同様で、これにより内需がふるわず、日本は30年に及ぶ停滞期から抜け出せていないが、アメリカはこうした動きがかなり早くからそして大きな規模で現出していることを時代の流れとともに証てくれている著作。2021/10/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/18062746
  • ご注意事項