内容説明
父と息子の葛藤を描く、英国発傑作スリラー。
愛する妻を突然喪い、幼い息子ジェイクと二人、取り残されたトム。内向的で周囲に馴染めないジェイクの父親として、親子の関係をうまく築くことが出来ずに悩むトムは、心機一転、新たな町に引っ越し、生活をやり直そうと決意する。しかしそこには、20年前に起きた連続児童殺人事件の犯人で、現在は服役中の「囁き男」の影が色濃く残されていた。やがて、当時の事件を彷彿させる事件が起きる…。
2020年イアン・フレミング・スチール・ダガー賞最終候補作、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の監督・ルッソ兄弟による映画化も進行中。父と息子の葛藤と宿命を繊細かつ濃厚に描く人間ドラマであり傑作スリラー、日本上陸。
(底本 2021年6月発行作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
72
妻を亡くし、子供と見知らぬ町に引っ越した作家。ただその町には20年前に起きた連続少年誘拐事件「囁き男」が未だ影を落としていた。そして新たな事件が…。題名にもなっている「囁き男」が民間伝承の類でそれに絡んだ話かと思いきや、服役中で具体的な姿を持っていた。彼は獄中という事で影響は語られるものの、あまり物語表面には姿を現さず。代わりに語られるのは主人公たち二人の親子関係。どちらかというと、愛し合っているのにすれ違う不器用な二人の再生物語的なものが主題。その為序盤は冗長に感じたものの、ラストは一気読みでした。2021/09/25
ナミのママ
52
前半、読みにくかった。語り手が頻繁に変わるのにストーリー展開が遅い。半分くらいでギブアップしようかと思った。なんとなくダラダラと読み続けるうちに後半になり、父と息子の関係になり、面白くなった。…父子家庭の2人が引っ越した町はかつて連続児童誘拐殺人事件があった土地。購入した家も何やら曰く付き。スリラー?ホラー?のようで、犯人探しのミステリーでもある。でも主軸はやっぱり父と息子かな?あちこちの感想は高評価みたいだけど私はあまりのめり込めなかった。2021/07/10
しゃお
36
愛する妻を失い、息子ジェイクとの関係に悩む作家のトムは、環境を変える為に小さな町に越す。しかしその町では20年前に子供の連続誘拐殺人事件が起き、最後の子供はいまだ見つかっておらず、そして再び少年が失踪するという事件が。「囁き男」と呼ばれた20年前の事件の犯人は服役中でああり、同じような事件の発生に模倣犯なのか共犯者がいたのか。超自然的な要素が盛り込まれているため前半は乗り切れない部分はあったものの、親子の関係が幾重にも重なるように描かれていく終盤、特にラストは胸にぐっとくるものがありました。2021/10/27
星落秋風五丈原
30
表紙絵は木の間から除く二つの穴。おそらく目と見まごうようにデザインされている。ここから受けるイメージはホラーものだ。愛する妻を突然喪い、幼い息子ジェイクと二人取り残されたトム。内向的で周囲に馴染めないジェイクの父親として親子の関係をうまく築くことが出来ずに悩むトムは新たな町に引っ越し、生活をやり直そうと決意する。しかしそこには、20年前に起きた連続児童殺人事件の犯人で、現在は服役中の「囁き男」の影が色濃く残されていた。作品中でジェイクが読んでいるのがダイアナ・ウィン・ジョーンズの『呪われた首輪の物語』2021/07/04
鈴木拓
26
フェザーバンクという町では、かつて、子供が相次いで誘拐され、殺害された事件があった。犯人は逮捕されたものの、最後に誘拐された子供はは発見されないまま二十年が過ぎていた。そして、同じ町で再び子供が誘拐される事件が発生した。過去に逮捕した男には共犯者がいたのか、それとも模倣犯か、あるいはまったく別の事件なのか。 この街に引っ越してきたシングルファザーのトムと息子のジェイク。彼らはやがてその事件を知り、不安な日々を過ごすことになる。2021/10/07