内容説明
いつもの風景が、その姿を変える
単なる偶然、でも、それは意味ある偶然かもしれない。
世界各地へ出かけ、また漱石『夢十夜』や三島『豊饒の海』、芭蕉など文学の世界を逍遥し、死者と生者が交わる地平、場所に隠された意味を探し求める。
能楽師・安田登が時空を超える精神の旅へといざなう。
私たちには、「見えないもの」を見る力が備わっています。
「目」を使わないでものを見る力です。(まえがきより)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翡翠
15
見えないけれどあるもの「非在」の話は引きこまれた。知識がないと見えないものがあることには、もうこれは仕方がないと思ってしまう。能に関したことだけてはなく、他の分野でも当てはまること。今見えていること、見えないけれどあること、知ることで見えるようになること。世界は何層にもなっていて人によって見え方が違う。面白い。2022/04/20
かりんとー
7
(戸田書店)能を知らない人にはちょっと難しいかもしれない。 翁のチベット起源説、非在の話が面白かった。2021/12/20
イワハシ
4
能と旅を繋ぐエッセイあれこれ(旅雑誌に掲載されたもの)。プロの芸能者とは、移動するものなのだなあ。2021/09/28
ganesha
4
旅好きの能楽師によるエッセイ。DENに連載された10年分の文章を旅、夏目漱石と三島由紀夫、古典文学、漢文、日常に関するものに分けて収録されている。リトアニアでは般若は男に見えること、台湾の学生にもたらした能の影響、「箒」「あはひ」の考察など興味深く読了。いつかまた読み直したい。2021/08/12
すばる
2
100分de名著に太平記の解説で登場されていたので読んでみた。 能だけではなく、甲骨文字、古事記など幅広い分野の話を、まさに聞いているような語り口。もっと読んでいたい、終わるのが寂しい読後感。2022/07/31