内容説明
名作を深く読んで、男の本質を探る名著。源氏と夕霧、主人公達の人物評論の形で語る、永遠の男性像。鮮明に描かれた光源氏の姿と心――情熱的な恋の渉猟者・源氏は、逆境に鍛えられた鋭い人間洞察家として、したたかな政治手腕で権力の頂点に到る。その父親に厳しく導かれた嫡男・夕霧(ゆうぎり)は、廉直で頼もしい貴公子に育ち、一途な恋を実らせた。二人の主人公にライトをあて、永遠に変らない男の本質、男の典型を、『源氏物語』で楽しむ、比類ない名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りず
3
再読。20年前に一読してそれから本棚に眠っていた本。源氏物語を結構勉強した今読み返したらこれがまあ、面白い!さすが田辺聖子さん!光る源氏君も人の子…老いには勝てない様が何とも胸に迫る。あんなにも位を極め人生を極めたと見える人でも、老害(‼)と言われてしまうのか…。切ない。夕霧は、光る人の影であまり際立った印象がなかっただけに、粘着質の頭の固いの融通の利かないのとひどい書かれように、読みながら苦笑。源氏物語って、女君の書き分けが物凄くできてるけれど、男君もちゃんと書かれていて、今更ながら素晴らしい文学です。2018/11/22
麻琴
2
今作の続編的な「『源氏物語』男の世界 」を読んだのでこちらも再読。今作は源氏と、その息子夕霧について。源氏の登場人物で誰が嫌いって夕霧に勝てる人は出てこない。粘着気質で執念深くて面白みがなくて魅力を一切感じない。年いってから突然女にとち狂う夕霧より最初から一貫して女好きな源氏の方がよっぽどマシ。(源氏は藤壺と結ばれてれば女好きじゃなかったかもしれないし。)月の半分ずつきっちりと分けて雲居の雁と落葉の宮に通うというのが誠実というより気持ち悪いと改めて思った。☆32015/12/17
norisue
1
容姿性格とも非の打ちどころがない源氏が年を取って人間のいやらしさが出てきてしまうところが、なんとも切ない。物語だとわかっているのですが、何度読んでも何で朱雀院は女三宮を柏木に御降嫁させなかったのかと残念でしょうがない。ま、もし2人がハッピーエンドになっちゃってたら、馨がいなくなっちゃうんだけどね。2013/06/21
白玉
1
主人公・光源氏とその息子夕霧にスポットを当てた人物評論。猟色家のイメージ強い源氏が、実は鋭い人間洞察家だったり、一途で実直な夕霧が実は執念深い粘着タイプだったり。夕霧ってストーカー気質だったんだね…。2012/06/12
ミカヅキカゲリ
1
諧謔に満ちていた。2011/05/05