内容説明
量子系の厳密解を構成するために有用なベーテ仮設法。
基礎理論からその背後に広がる数理までを最新の研究に基づき解説した一冊。厳密に解けるモデルのもつ驚くべき深い性質を堪能し、最先端の表現論・代数的組み合わせ論・各種の数理物理学が織りなす広大な世界の一端に触れる。
第I部では基本となる1次元ハイゼンベルグ模型を題材に代数的ベーテ仮設法を解説する。これまで未知であった部分も含め、最新の研究によって明らかにされた全体像を紹介する。その上で解明されている部分と未解明な部分とを明確に示した。
第II部では量子群の結晶基底を用いると第I部の理論の組み合わせ論的類似が構成できることを見る。結果として得られる理論は無限次元代数や代数的組み合わせ論における強力な道具を提供する。ここでは箱玉系とよばれるソリトン系との緊密な関係が鍵となる。
目次
第Ⅰ部 ベーテ仮設法
第1章 はじめに
第2章 代数的ベーテ仮設法
第3章 ベーテ仮設方程式の解と艤装配位
第4章 スカラー積
第Ⅱ部 結晶基底・箱玉系・艤装配位
第5章 はじめに
第6章 A^(1)_1型の場合の初等的理論
第7章 A^(1)_n型の場合の理論
第8章 A^(1)_n型のある種の表現について成り立つさまざまな性質
第9章 D^(1)_n型の場合の理論
第10章 一般の非例外型代数の場合の理論
第11章 結晶基底の理論より