文春文庫<br> 堤清二 罪と業最後の「告白」

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文春文庫
堤清二 罪と業最後の「告白」

  • 著者名:児玉博【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 文藝春秋(2021/06発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167917111

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内容説明

第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。月刊「文藝春秋」の連載『堤清二の「肉声」』に大幅に加筆したもので、セゾングループの総帥だった堤清二氏が死の一年前、父・康次郎氏そして弟の義明氏との関係をじっくり振り返った一族の物語です。
清二氏が、著者の児玉さんに10時間以上も語った堤家の物語は、愛憎と確執に満ちた肉親相食む世界でした。大宅賞の選評で、選考委員の後藤正治氏は「インタビューを重ね、その足跡をたどるなかで、入り組んだ内面を宿した人物像を浮き彫りにしている。読み物として読み応えがあった」とし、奥野修司氏は、「筆力、構成力ともに群を抜いている」と評価しました。
康次郎氏は西武グループの礎を築いた実業家であると同時に、強引な手法で「ピストル堤」の異名をとり、異常な好色でも知られていました。清二氏ら七人の兄弟姉妹の母親だけで四人、そのうち二人とは入籍をしませんでした。関係を持った女性はお手伝いから看護士まで相手選ばず、清二氏の母・操さんの姉妹とも関係を持ちそれを操さんも承知していたといいます。その異常な環境で、清二氏・義明氏兄弟は静かな“狂気”を身の内に育まざるをえませんでした。
フォーブス誌の世界長者番付で世界一位に輝いた義明氏と、セゾン文化で一世を風靡した清二氏は、一転して凋落し、軌を一にするように堤家も衰退の一途を辿ります。
西武王国について書かれた本は数多くありますが、清二氏が初めて明かした一族の内幕は、堤家崩壊の歴史であると同時に、悲しい愛と怨念の物語であり、どうしようもない定めに向き合わなければならなかった堤家の人々の壮大な物語です。

※この電子書籍は2016年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まると

30
堤清二が西武王国の正統継承者・義明を「凡庸な彼」と見下し、「可哀想な人」と発言しているところが面白い。清二がその天才的頭脳でセゾングループを独裁的に統率していたことも知ることができた。ロングインタビューで最晩年の言葉を引き出した著者の功績は多としたいが、経営者と文学者の多重人格性と経営者としての客観的評価についてもっと取材・考察して重厚な評伝としてくれたならなお良かった。父康次郎や義明の人物評も、証言を多角的に集めて迫っているわけではなく、少々手薄な印象。そこはいずれ自伝的な辻井作品を読んで補うとしよう。2022/02/16

Isamash

29
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家の児玉博2016年出版著作。本人に七回のべ十数時間に及ぶインタビューを中心に執筆しており作家としての姿勢はとてもGoodも、清ニ本人の内面にはあまり迫っていない印象。とは言えまあ堤康次郎及びその妻・愛人と清ニ・義明ら子供達の表面的な事実関係は把握することができた。ただ清二その人に関しては天才という括りで語られてしまっていて、何故赤字百貨店一つからあれだけの事業を成し得て、作家としても一流たり得たかは全く分からず、不満は大きく残ってしまった。堤清二をさらに知りたいとは思った2023/08/28

Mark X Japan

9
堤一族について、ほとんど知らなかったので、基礎から理解しながら読みました。華麗なる一族も様々な問題があり、それが一族繁栄の崩壊に繋がっている部分も多々あるようです。欧米の華麗なる一族は数世紀も繁栄を保っています。様々な陰謀や黒幕説が彼らにはありますが、一族繁栄のためなのでしょうか。☆:4.02021/08/14

anken99

8
西武帝国を気づき、そして憎しみあった清二と義明の堤兄弟。本書では、清二への晩年のインタビューを通して、父や家族の事、そして仕事について振り返っていく。異母兄弟であるがゆえに、激しいライバル心を常に持ち合わせていた二人の生きざまはすさまじい。ただ、セゾンなどを通じて「文化」を作った清二は、ただの商売人ではないんだろう。義明の側から見た作品があれば、ぜひ読んでみたいと思う。巻末の解説は糸井重里氏。感謝にあふれる文章であった。2023/07/07

OjohmbonX

7
漠然と「失敗した経営者」のイメージで片付けられがちだけど、やっぱり日本の消費文化に与えた影響は無視できない大きさだった。セゾングループとしては解体しても、西友、無印、LOFT、ファミマ、パルコ、リブロなどは今も残っている。「資本家で経営者で文化人」がこの規模で実在したのは特殊な現象だったのだと思う。あと解説で糸井重里が出したコピーを見た堤清二が「女性をものとして扱うな」と静かに激怒するエピソードが語られていて、そうした自分の失敗をそこで載せられる糸井も偉いなと思った。2022/06/21

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