内容説明
日本の不動産王で黒ビルグループ会長の黒河内慎平が、不仲の息子にマンション10階から突き落とされた。だが、墜落した筈の死体が忽然と消える。同夜、下の階で大学教授とクラブホステスの心中事件が発生──。この二つの脈絡のない事件が、刑事たちの執念の捜査で一つの線で結ばれた時、恐るべき犯罪の全貌が……。死体消滅の謎を追いながら、教育界の腐敗と国際謀略の闇を暴く長編社会派ミステリー。
目次
出稼ぎ隠れん坊
消失した墜落
指名された出会い
すれちがった情死
共同打算戦線
最後の晩餐所
地獄の晩餐会
立棺の死者
死の共稼ぎ
失墜したとどめ
死媒蝶
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yomineko@鬼畜ヴィタリにゃん🎄🎅🎄
68
二重三重のトリックに驚きながら読んだ。今までの森村先生作品で一番いいと思う。食器の発見場所にまた驚き😲😲😲よくこんな粗筋を考えられるなと頭の良さに感心した。K国は出て来るわ、北まで登場。幸せになって欲しい人が幸せにならない物語だが、それが余計に驚きを増す。死媒蝶=クラブのホステスさんかと思ったが最後で明かされている。オススメです✨✨✨2022/07/08
坂城 弥生
45
ちょっと前の時代の話で、大槻夫妻が本当に可哀想だった…子供はどうなるんだろう…2021/08/09
ひつじパパ
4
推理小説としては面白かった!二重にどんでん返しがある。でもこの本でびっくりしたのは佐紀子の計算高さ。したたかさ。女性は恋愛に思い上がるのではなく、あくまで実利的で現実的なんだなぁと知った。そして最後に入江が犯罪者と分かったら、いとも簡単に、入江の子を堕胎して離婚する始末。何なの?この女性(ひと)、、と思った。心に誓った男性をこうも簡単に切り離すなんて!2021/12/05
はんく
2
農家の困窮と金策のための出稼ぎ、成り上がり富豪の財産をめぐる骨肉の争い、国家を巻き込むスパイ問題に男女の下世話な色恋沙汰も含め、あまりにも日常的かつ現実的で生々しいところに辟易するがそこが社会派ミステリたる所以。マンションの10階から転落したはずの被害者の消失と失踪という謎で序盤は読まされる。複数の事象が次第に収束していくのはミステリのお約束で本書でも最終章できれいにオチが決まってはいるが全体を俯瞰して見ると偶然の多さや解決の呆気なさは否めないし、作者特有の表現の仕方も文体も硬質で読み易いとは言えない。2025/07/26
LANA
2
森村誠一さん、松本清張さん、昭和の匂いがするのがいいですね。今の作家が資料を読んで時代背景を表現したとしても、この昭和の独特な匂いは表せないかと。 中学生の頃に初めて見た長編サスペンスも森村誠一さんの「鍵のかかる棺」だったのを思い出しました。中学生にしてなんと大人な本を読んでいたことか。 タイトル、最後まで読んでやっと意味が分かりました。 後、表現が好きですね。K国とか、北K国とか。昭和です。 p233の環状彷徨(リンデワンデルンク)とか。脱出口はすぐそこにだが、消して通れない。2021/07/14




