内容説明
総務課に勤める桜井大伍は、同期の山吹桃子とともに、社内外に巻き起こるドタバタ事件に次々と巻き込まれる。1950年代、懐かしい“昭和”の牧歌的な空気の中、魅力的な登場人物たちが、恋や仕事に右往左往する姿をユーモラスかつキュートに描くラブコメディ。各話「明日は日曜日」と締め括られる構成も魅力的で、「今」読むからこそ新鮮な13編からなる連作短編小説。
目次
第一話 エレベーター・ガールの恋
第二話 良人のヘソクリ
第三話 好きになったり、なられたり
第四話 恋人と残業
第五話 手頃な恋人
第六話 看板娘との恋
第七話 コロッケさんとキャベツ君
第八話 あすは晴れるだろう
第九話 新入社員への戒め
第十話 恋の審判
第十一話 恋とスリル
第十二話 良人の抵抗
第十三話 いよいよ日曜日
解説 南沢奈央
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
43
昭和の若いサラリーマンたちの恋愛を描いた小説。主人公は世話焼きの桜井大伍と、しっかり者の山吹桃子。くすりと笑えて、ほろりとするところもある傑作です。一つのエピソードが「明日は日曜日」という言葉で締めくくりになる構成が洒落ています。8話のが特に心に残っています。好きになった男性から捨てられた昔の同僚を救うために大伍と桃子が奮闘します。ほろ苦さとペーソスを感じる結末が絶品。この章に「明日は晴れるだろう」というタイトルを付けた作者の感性に痺れました。2025/11/21
信兵衛
30
各話の最後はいつも、明日の日曜日は何する?といった会話で締めくくられます。 週6日働いて、明日は休み=日曜日、と心待ちにしている様子が生き生きと感じられて楽しくなります。 まぁ、のどかな、良き時代だったのでしょうね。2021/04/03
旗本多忙
22
明日は日曜日!世間はGWに突入だから、日曜日が特に嬉くはないか。でも私は日曜日しかないので明日が楽しみ。それは置いといて、この「明日は日曜日」は源氏鶏太氏が70年くらい前に書いた職場の恋愛小説だ。大手企業の総務課で机を並べる2人、大伍君は桃子さんが好き、桃子さんも大伍君が好き。散財多い大伍君は桃子さんにいつも無心する。喜ぶかの如く貸す桃子さん。互いに一言が言えず、いつも他人の世話ばかり。僕が二十歳の頃は、まだこんな感じの恋愛はあっただろうなあ。スッキリ爽やかな2人はどうなるのか。明日は日曜日が合言葉・・・2023/04/29
ニコ
17
1950年代のサラリーマンの恋愛小説。お爺さんお婆さん世代の頃かな?現在とはずいぶん物価とか職場の様子とか違ってて、今なら完全なパワハラ、問題発言?でも時代の空気感が伝わって面白い。日曜日の為に頑張ってきたお爺さんお婆さんに感謝!2021/05/14
鷹ぼん
9
週休1日が当たり前だった時代の物語らしく、土曜日に「明日の日曜は映画でも」なんて会話で締めくくられる各章。主人公の桜井大伍君は、相談ごと(基本的には恋愛関係)を断れない性格で、隣席の桃子女史をやきもきさせるが、そんな大伍青年を微笑ましく思い、さらには好意も抱いている。そこになかなか気づかない大伍青年、実にイイ奴だ。エレベーターガールの杏子さんには悪いけど、やっぱり大伍君と桃子女史は結ばれるのが、妥当でしょう(笑)。それほど詳細ではないが、終戦からわずか7~8年で急速に復興した大阪の街の様子も、興味深い。 2021/04/17
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