内容説明
この世でもっとも純粋で美しいもの――それは愛らしい少女たちの姿。なぜ、彼女たちは時代によって、エロスを漂わせた存在として表現されたり、性をそぎ落とされたけがれない姿で描かれたりと、変貌をくり返してきたのか? そこには人間のどのような理想と欲望が映し出されているのか? あらゆる女性の理想とされたあどけない聖母マリアから、突如挑発的な姿を露わにし始める現代の少女たちまで、200点の名画の裏に隠されたメッセージを読み解く。色鮮やかな図版が誘う究極の美の世界。
目次
はじめに
第一章 美少女美術の黄金時代
ファンシー・ピクチャー──量産される美少女
ブグロー──アカデミーが生んだ美少女画の巨匠
不思議の国のアリス──見え隠れする少女の性
美少女というファンタジー──児童文学と挿絵のなかの少女
第二章 神話世界の美少女
死せる少女──彼女たちは墓碑のなかで生き続ける
ニケ──勝利をもたらす少女
巫女たち──神に仕える職業的な処女
美少女の冒険──プシュケーの物語
パンドラの箱──人類最初の女性がおかした罪
純潔のシンボル──ダフネとクロエー
第三章 キリスト教と美少女
美しき天使たち──彼女たちは何者か
幼きマリア──完璧な美少女ができるまで
殺害される聖アグネス──殉教聖女たち
首を斬られた乙女──バロック時代のキャンペーン・ガール
甲冑の美少女──ジャンヌ・ダルク
第四章 美少女の復活
ルネサンスのミューズたち──ベアトリーチェとラウラ
描かれた「実在の少女」──肖像画
幼妻──上流階級の娘たちのさだめ
貞節のアレゴリー──奪われやすい処女を護れ!
父殺しの美少女──ベアトリーチェ・チェンチと社会運動
ヴァニタス──「儚さ」の寓意
第五章 「美少女」の誕生
マリアの教育──変わっていく「娘」なる存在
ラヴ・レター──フェルメールと市民社会
貧しき美少女──「救済」のプロパガンダ
「美少女」の発見──ごく普通の子どもたち
大人のミニチュア──王女マルガリータ
割れた水瓶──処女性のアレゴリー
第六章 印象派と世紀末の美少女
ルノワール──印象派の愛くるしい少女
ドガ──貧しき踊り子の一瞬を切りとる
広告のなかの少女たち──ミュシャとロートレック
オフィーリアの死──ラファエル前派と世紀末運動
瞳の無い少女たち──エコール・ド・パリ
ピカソ──「子どもの世界」
おわりに──美少女たちはどこへ行くのか
主要参考文献
人名索引
事項索引
感想・レビュー
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HANA
あたびー
Vakira
やいっち
kei-zu