ちくま学芸文庫<br> 美少女美術史 ──人々を惑わせる究極の美

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ちくま学芸文庫
美少女美術史 ──人々を惑わせる究極の美

  • ISBN:9784480098009

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内容説明

この世でもっとも純粋で美しいもの――それは愛らしい少女たちの姿。なぜ、彼女たちは時代によって、エロスを漂わせた存在として表現されたり、性をそぎ落とされたけがれない姿で描かれたりと、変貌をくり返してきたのか? そこには人間のどのような理想と欲望が映し出されているのか? あらゆる女性の理想とされたあどけない聖母マリアから、突如挑発的な姿を露わにし始める現代の少女たちまで、200点の名画の裏に隠されたメッセージを読み解く。色鮮やかな図版が誘う究極の美の世界。

目次

はじめに
第一章 美少女美術の黄金時代
ファンシー・ピクチャー──量産される美少女
ブグロー──アカデミーが生んだ美少女画の巨匠
不思議の国のアリス──見え隠れする少女の性
美少女というファンタジー──児童文学と挿絵のなかの少女
第二章 神話世界の美少女
死せる少女──彼女たちは墓碑のなかで生き続ける
ニケ──勝利をもたらす少女
巫女たち──神に仕える職業的な処女
美少女の冒険──プシュケーの物語
パンドラの箱──人類最初の女性がおかした罪
純潔のシンボル──ダフネとクロエー
第三章 キリスト教と美少女
美しき天使たち──彼女たちは何者か
幼きマリア──完璧な美少女ができるまで
殺害される聖アグネス──殉教聖女たち
首を斬られた乙女──バロック時代のキャンペーン・ガール
甲冑の美少女──ジャンヌ・ダルク
第四章 美少女の復活
ルネサンスのミューズたち──ベアトリーチェとラウラ
描かれた「実在の少女」──肖像画
幼妻──上流階級の娘たちのさだめ
貞節のアレゴリー──奪われやすい処女を護れ!
父殺しの美少女──ベアトリーチェ・チェンチと社会運動
ヴァニタス──「儚さ」の寓意
第五章 「美少女」の誕生
マリアの教育──変わっていく「娘」なる存在
ラヴ・レター──フェルメールと市民社会
貧しき美少女──「救済」のプロパガンダ
「美少女」の発見──ごく普通の子どもたち
大人のミニチュア──王女マルガリータ
割れた水瓶──処女性のアレゴリー
第六章 印象派と世紀末の美少女
ルノワール──印象派の愛くるしい少女
ドガ──貧しき踊り子の一瞬を切りとる
広告のなかの少女たち──ミュシャとロートレック
オフィーリアの死──ラファエル前派と世紀末運動
瞳の無い少女たち──エコール・ド・パリ
ピカソ──「子どもの世界」
おわりに──美少女たちはどこへ行くのか
主要参考文献
人名索引
事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

66
官能、残酷、美少年と来て、今回は美少女。美術史とは言うものの通史的なものではなく、作家やジャンルという括りで紹介されている。作中で述べられているように「子供」が発見されたのが近代という事で、古代から中世にかけてが薄くなっているので致し方無い事かもしれないけど。その分近代以降は充実していて満足。『不思議の国のアリス』からピカソ、バルテュス、ミシャにラファエロ前派そして『ロリータ』まで、有名なものから未知なものまで多数収録されている。カラー図番多数で、絵を眺めているだけで時間が忘れれそうなほどの一冊であった。2017/12/04

あたびー

48
「美術史」はエヴァレット・ミレイ作のあざといほどの可愛らしさを湛えた少女の絵で始まる。そのあとブグロー、テニエルなど19世紀の愛らしい絵を見たあと突然アッティカのお墓まで時間を遡るので「美少女どこへ行った!?」とキョロキョロ。題材は神話、基督教関係、貴族の肖像画、そして徐々に名もなき少女がが登場する。もう一度時代が冒頭に追いついて、そこからピカソ、バルテュスへと進む。やはり「美」少女画と言うことでは、19世紀が最もそれらしいと思うのは、昭和な私だからだろうか。2021/10/07

Vakira

41
池上氏 今度は美少女ときた。美少年は飛ばしましたがこのシリーズは気に入っているので購入。大好きなブグローの少女絵 約24ページにわたる。総ページが240ページ程なので10分の1をブグローの少女絵紹介に使っていて嬉しい。何枚もの絵を見るとモデルが同一人物であったり、服装自体同じだったり。これは誰かななんて見るのも楽しい。ブグローだけでなく、ウォーターハウス、ミレイ、カバネル、シーレ、クリムト、ルノワール、ドガ、ミュシャ、ユンク、ピカソ、オオ~ バルテュスも・・・官能美術史に劣らず楽しみました。 2017/07/14

やいっち

34
昨日から今日の未明にかけて一気に読んだ。別の呟きで紹介したけど、フェルメールもいいけど、フラゴナールのこの絵もいい:「読書する女(娘)」 清楚な雰囲気。1776年頃の作品。このころはまだ、女性が読書するのは富裕層。詳しいことは、ここへ: http://www.salvastyle.com/menu_rococo/fragonard_liseuse.html 本書の中で発見。2017/09/19

kei-zu

32
近代以前、こどもは「小さな大人」であったが「こども」の定義ともに性的なものとは切り離された(それとともに倒錯の対象にもなったわけだが)。肖像画は王侯貴族を描くものであったが、時代が下り庶民が描かれるに至って、美少女を描くものが増えていく(フェルメール「青いターバンの少女」など!)。に古代にあっては、美少女よりは美少年が評価の対象であったなど、いろいろ興味深い。2024/04/17

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