内容説明
学友・谷崎潤一郎のほか、志賀直哉、高坂正顕、幸田露伴ら多彩な顔ぶれと自由闊達に語る。オリジナル編集による初の座談集。未収録三篇を含む全十篇。没後六〇年記念。〈解説〉苅部直
目次より
Ⅰ
春宵対談(谷崎潤一郎)
旧友対談(谷崎潤一郎)
戦争と平和(志賀直哉)
世界史における日本の運命(高坂正顕)
緑蔭対談――若い女性に望むこと(柳田國男)
Ⅱ
幸田露伴先生を囲んで(幸田露伴・徳田秋声・末広厳太郎・辰野隆・谷崎潤一郎)
日本文学に於ける和歌俳句の不滅性(幸田露伴・安倍能成・斎藤茂吉・茅野蕭々・寺田寅彦・野上豊一郎)
日本文化の検討(柳田國男・長谷川如是閑・大西克禮・今井登志喜)
漱石をめぐって(安倍能成・小宮豊隆・内田百閒)
文学と宗教(高坂正顕・竹山道雄・長與善郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
80
生きて喋っているという、だけで。(笑)言葉づかいがとても綺麗で、こちらの背筋まで、まっすぐになる心持ち。漱石門人達と師を語り、谷崎とは作品を、高坂とは、世界史観から日本を。他にも豪華ラインナップ。ただ、私的には、陛下(昭和天皇)は、歌舞伎を一度しか観たことないとか、露伴や秋声との座談場所が、星ヶ岡茶寮だ、とか、志賀直哉は、皇太后がいらして、奈良公園を散歩できないとかの、脇道にそれた話しが最高でした。今の文学者達とは違い、芸術、政治など広範な話題に精通。立ち位置の違い、かく変わるべし、と感慨深くなりました。2021/03/06
元気伊勢子
7
馬込文士村に関心を持ち始め、背伸びをして、和辻哲郎を読んでみた。どの人も話題の幅が広過ぎる‼️人と知的な会話をするのは、難しいけれど、物事を知ろうとする姿勢は持ち続けたい。2022/08/10
bittersweet symphony
1
和辻の没後60周年を機に満を持して編まれた対談選集とのこと(2020年刊)。かかわらず半分は与太話のような気がしなくはないですが。1935年から55年の間の10本(うち戦前・戦中が3つ)で、アメリカへのきちんとした言及がなかったりヒンズーとイスラムを混同しているきらいがあったり、日本の宗教性を語るのに(国家)神道を素通りしていたりと時代性も含め色々限界が垣間見える感がありますね。2022/12/16
8
1
巻末の苅部直の和辻評は高すぎるのではないかと思う。要するに目上、年上に対する時は寡黙でボロをださず、目下が多ければ能弁に多少いい加減でも自説を高唱する。それでも漱石への影響について高山樗牛を持出して否定されたりする。 ただ、和辻抜きで考えても面白い座談が集められているので、面白く読んだ。2021/04/03
ご〜ちゃん
0
「幸田露伴先生を囲んで」という座談会で、冒頭うなぎの話で盛り上がっていて、気楽な雰囲気が伝わってきて楽しい。幸田露伴の博学ぶりが見事だと思う。2023/02/01