内容説明
上方落語の魅力が詰まった笑福亭銀瓶の自叙伝。
タレントになりたくて笑福亭鶴瓶に弟子入りしたけれど、自分の居場所が見つけられずに「辞めさせてください」と口にした。師匠は首を縦にふらなかった。
あの日から30年の月日が流れ、弟子は自身の独演会で師匠と競演する。タレントではなく、落語家として生きる道を選んだ弟子。
「あの時、お前を辞めさせなくて良かった」
師匠にそう感じてもらえるようにと自分を戒めながら、笑福亭銀瓶は今日も高座に上がる。
弟子入り志願、内弟子修業、年季明け、大御所の前での失敗…、こんなにリアルな落語家の日常を描いた本は唯一無二。
韓国語を学び韓国で落語をする、役者として舞台やドラマに出演する…、挑戦するたびに見える世界が変わってくる。
そしてそのときどきに、師匠・笑福亭鶴瓶からかけられた言葉がリフレインする…。
東京と大阪をまたにかけて活躍する落語家の半生を綴った400ページをこえるドキュメンタリー。
目次
序 章 お前を辞めさすつもりはない
第一章 幼少期
第二章 小学生時代
第三章 中学生時代
第四章 高専時代
第五章 悩み~入門
第六章 修業スタート
第七章 独り立ち
第八章 変化
第九章 韓国語落語
第十章 舞台『焼肉ドラゴン』
第十一章 覚悟と挑戦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
47
著者は、笑福亭鶴瓶に弟子入り後、文化庁芸術祭優秀賞受賞、NHK朝ドラ「あさが来た」「まんぷく」にも出演するなど役者としても活躍中の落語家笑福亭銀瓶氏。東京・大阪をまたにかけて活躍する落語家の半生を綴った400頁をこえる自叙伝。在日コリアン3世の出自、弟子入り志願、内弟子修業、年季明けなど、自身のことはもちろん、師匠夫婦とのトラブルまで赤裸々に語っています。また師匠鶴瓶さんの落語へのひたむきさも感じました。たまたま手にした本でしたが、笑福亭銀瓶という人に興味が湧きましたので一度彼の落語を聴いてみたいです。2024/06/24
gtn
21
師匠夫妻を不快にさせているのではという自責の念から、辞めたいという著者。辞めさせるつもりはないと答える師匠。師に恩返しすると腹が決まり、師の何気ない一言や、自分のルーツと向き合い、昇華させていく。「師弟は三世」との言葉どおり、その縁は峻厳であり、師の慈愛は肉親をも超えることを、自らの姿を曝け出すことによって、読み手に懸命に伝えようとする。2022/08/01
funkypunkyempty
6
★★★★☆ 読み始めたら一気読み。銀瓶師匠の人生にガバッと飲み込まれていく感じがした。師匠鶴瓶との実際のやりとりを落語の「百年目」にスッと入れていく最後がグッときた。そして人間国宝米朝とのやりとりも最高!2021/04/21
マツさん
2
銀瓶師の寄席会場にて購入。芸に対する姿勢や人付き合いを大切にされる方なればこそいろいろなことを乗り越えることができて今日の師があるのだとよく理解できる自叙伝。噺家さんの師弟の繋がりの深さは、厳しさもだいぶあろうが、現代の希薄な社会においてうらやましいぬくもりに思える。2021/08/16
やっさん
1
買ってからしばらく忘れていたが、ようやく手に取った。著者のことは知らない。たまたま読んでいた本に挟まっていた新刊案内に載っていて、興味がわいたので買ってみた。冒頭は在日コリアンの話しなので、少し重いのかなと思っていたら、だんだんと落語家になっていく著者の半生が面白くなってきた。いろんな落語が出てくるが、あまり詳しくないので一席だけYouTubeで聞いてみた。しかも著者のではなく。なんとなくその話しの流れがわかった。 著者のこの自叙伝を読んで、自分の人生を振り返って、ちょっと背筋が伸びる思いがしました。2022/04/27