内容説明
宇治の御茶師朝比奈家の養女として、綸は碾茶製造の技術を学び、病に倒れた父の跡を継ぐ。一方、徳川・豊臣の決戦近しの報が走る。豊臣の恩顧に報いるべきか、徳川につくべきか。文化的・政治的存在となった茶をめぐる人間模様の中で、これまで誰も取り上げなかった、御茶師に焦点を当て、激しい時代の流れを縦糸に、綸の正義感と繊細な女心を横糸に錦昻というべき世界を織り成した歴史小説。(解説・末國善己)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
一五
9
宇治のお茶師たちの、戦国の乗り切り方。小堀遠州は奈良に縁あるので、想い人だったり、悪役になったりでハラハラ2022/08/22
おさと
4
堅苦しくない時代物。読みやすかった。2023/07/02
陽ちゃん
4
宇治で御茶師の養女として育てられた綸が、豊臣家滅亡や慕っていた古田織部の死を経験しながら、御茶師として一家をまとめ、繁栄させようと奮闘する姿が凛々しいです。宇治の御茶栽培の様子は以前にTVで見たことがありますが、気の遠くなるような手間ひまがかかっているんですね。そして、本文ではないですが、参考文献の多さに驚きました。2021/07/28
YH
3
御茶師って耳慣れないが、流石、茶道が国の中枢になっていた頃は、お茶の生産者にも名字帯刀みたいな特権があったんだな。しかも武士ではないのに、天下分け目の戦さにも巻き込まれたりと、一般の商家とは異なる成り立ちなど興味深かった。2023/03/19
キオン☆
1
男尊女卑のあの時代、女でも御茶師に、就くことができたの?ドラマなので、深くは考えない。政治の保護なくして、文化は育たないよなと。家康なくして、小堀遠州は名を馳せることはなかったでしょ。戦続きのあの時代だもの。現在の茶道人口てどのくらいいるのかしらね。お稽古という名の、有閑マダムの社交の場、感がするわよ。こういう時代小説って馴染みのないジャンルだけど、私は池波正太郎氏鬼平や雲霧、剣客...好きだな。藤原氏も嫌いではないよ。新鮮な読後でした。2023/08/22