ちくま学芸文庫<br> 現代語訳 藤氏家伝

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ちくま学芸文庫
現代語訳 藤氏家伝

  • ISBN:9784480099440

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内容説明

『藤氏家伝』は、奈良時代後半(760~762年頃)に成立した藤原氏の家史。上・下巻から成り、上巻では始祖である藤原(中臣)鎌足とその子貞慧、下巻では藤原不比等の長男である武智麻呂の事績を伝える。『日本書紀』と『続日本紀』のあいだに編纂されたが、それら正史にはない独自の記述を含むことから史料的価値がきわめて高く、7~8世紀の歴史を理解する上で欠かせない史書である。本書はその初めての現代語訳。巻末には本文(漢文)と訳者による解説を付す。文庫オリジナル。

目次

上巻
鎌足伝
(一) 鎌足の誕生
(二) 鎌足の人柄
(三) 鎌足の奇相
(四) 三島の別邸での隠棲
(五) 軽皇子との出会い
(六) 中大兄皇子との出会い
(七) 蘇我入鹿の暴挙
(八) 蘇我本家打倒計画(1)──鎌足の妙策
(九) 蘇我本家打倒計画(2)──中大兄皇子の政略結婚
(一〇) 蘇我本家打倒計画(3)──蘇我倉山田石川麻呂との密議
(一一) 乙巳の変(1)──三韓の上表文
(一二) 乙巳の変(2)──入鹿を呼び出す
(一三) 乙巳の変(3)──蘇我倉山田石川麻呂、上表文を読む
(一四) 乙巳の変(4)──入鹿を斬る
(一五) 乙巳の変(5)──入鹿の死
(一六) 乙巳の変(6)──蘇我蝦夷健在
(一七) 乙巳の変(7)──東漢氏の退散
(一八) 乙巳の変(8)──蘇我本家の滅亡
(一九) 孝徳天皇の擁立(1)──鎌足の進言
(二〇) 孝徳天皇の擁立(2)──有言実行
(二一) 孝徳朝(1)──大錦冠、内臣となる
(二二) 孝徳朝(2)──紫冠となる
(二三) 斉明朝(1)──大紫冠となる
(二四) 斉明朝(2)──百済救援
(二五) 斉明朝(3)──奇瑞の出現
(二六) 天智朝(1)──皇太子、喪服で政務を代行する
(二七) 天智朝(2)──皇太子の鎌足讃辞
(二八) 天智朝(3)──皇太子、政務を執る
(二九) 天智朝(4)──高句麗王、鎌足に書を贈る
(三〇) 天智朝(5)──太平の代
(三一) 天智朝(6)──大海人皇子の命を救う
(三二) 天智朝(7)──礼儀の編纂と律令の修訂
(三三) 鎌足危篤(1)──天智天皇、鎌足を見舞う
(三四) 鎌足危篤(2)──織冠と藤原の姓を賜る
(三五) 鎌足の死(1)──天智天皇の詔(1 予期せぬ別れ)
(三六) 鎌足の死(2)──天智天皇の詔(2 国家の棟梁を失う)
(三七) 鎌足の死(3)──天智天皇の詔(3 弥勒の浄土に到れ)
(三八) 鎌足の死(4)──挙哀の礼
(三九) 鎌足の死(5)──山階寺に火葬する
(四〇) 仏教尊崇
(四一) 沙 昭明の碑文
貞慧伝
(一) 貞慧の人柄
(二) 唐への留学
(三) 貞慧の死
(四) 道賢の誄(1)──序(1 父鎌足の徳行)
(五) 道賢の誄(2)──序(2 唐への留学と帰国)
(六) 道賢の誄(3)──序(3 帰国直後の急逝)
(七) 道賢の誄(4)──父鎌足と貞慧
(八) 道賢の誄(5)──貞慧の死を悼む
下巻
武智麻呂伝
(一) 武智麻呂の誕生と幼年時代
(二) 武智麻呂の人柄
(三) 穂積親王の予言
(四) 内舎人時代
(五) 中判事時代
(六) 大学助時代(1)──大学助就任
(七) 大学助時代(2)──刀利康嗣の釈奠文
(八) 大学頭時代
(九) 図書頭時代
(一〇) 近江守時代(1)──近江守就任
(一一) 近江守時代(2)──仏教尊崇
(一二) 近江守時代(3)──寺院再興の上奏
(一三) 近江守時代(4)──寺院併合策
(一四) 近江守時代(5)──伊吹山に登る
(一五) 近江守時代(6)──神剣献呈
(一六) 近江守時代(7)──公平な政治
(一七) 近江守時代(8)──越前国神宮寺の創建
(一八) 式部大輔・式部卿時代
(一九) 東宮傅時代
(二〇) 中納言・造宮卿・播磨守時代
(二一) 大納言時代(1)──大納言就任
(二二) 大納言時代(2)──時代を支えた人々
(二三) 大納言時代(3)──文雅の会
(二四) 大納言時代(4)・右大臣時代(1)
(二五) 右大臣時代(2)──国家安泰
(二六) 武智麻呂の死
(二七) 積善の余慶
『藤氏家伝』本文
解説(佐藤信)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

68
藤原氏初期の歴史が記された伝記。藤原鎌足と定恵と藤原史(藤原不比等)の伝記(著・編者は恵美押勝(藤原仲麻呂))。及び藤原武智麻呂の伝記を記したもの(著・編者は僧延慶)。何と言っても日本の古代の基本を作った藤原氏。『日本書紀』も、実質、藤原氏が作った。予想していたように、自画自賛で歯が浮くような美辞麗句の連続。一度は読んでおきたかった。それにしても、中臣氏は何処から来たのか。 2020/01/27

レアル

42
日本書紀や古事記を読んだら、やはりその内容を比べたくなるのでこちらを読む事に。こちら藤原氏の家史。奈良時代後半に成立したといわれ、正史にはない独自の記述が多く含まれているから史料的価値が高いとされている。私は読み比べで読んでいるが、通読してもサクッと読めちゃうほど読み易い。そして鎌足の人柄や素晴らしさが「これでもか」というほど伝わってくる本。2023/10/31

はちめ

11
とても読みやすい現代語訳でありがたい。本家伝は8世紀後半の成立で日本書紀には影響を与えていないが、日本書紀編纂時にはこのような家伝がいくつもあり、それらをつなぎ合わせて作った部分も多かったのだと思う。特に壬申の乱のように勝利に貢献した豪族は自身の一族への報奨を獲得する意味もあり、この手のやや都合の良い記録を作成し朝廷に提出したのだと思う。もちろん、本家伝ほど整ったものではなかったとは思うが。☆☆☆☆★2020/10/24

紫草

9
現代語訳なので私でもすらすら読めます。鎌足伝は、有名な中大兄皇子との出会いの話とか乙巳の変とか、あの有名な話のこれが元なのね、っていうのばかり。ドラマチックでおもしろい。不比等伝が現存しないのは残念。貞慧という人は、鎌足の長子なのに出家したり情報が少ない謎の人。これは失われたのではなくて元々これしか書かれてないのかしら。不思議。そして武智麻呂。地味なイメージの人だけど、まあ清々しいくらいの褒めっぷり。臆面もなく、とか謙遜とかいう言葉は仲麻呂の辞書にはないのか(^^;2022/04/05

perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺

7
現代語訳と原文(返り点なし)。藤原氏の祖である鎌足、その子の貞慧、不比等の長男・武智麻呂についての伝記。編纂を命じたのが武智麻呂の子・仲麻呂(恵美押勝)との事で、歯が浮くくらい美辞麗句で潤色されまくっている。解説は独自の記事を期待する風だが、殆ど無いのでは。『扶桑略記』の記述から「天智天皇暗殺説」を思いついた某作家の轍は踏まないようにしないといけない。この場合は『扶桑略記』の時点でそうした風説があったのだろうけど、道教に無知だと道教的潤色と気がつかないのだろう。→2023/06/22

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