内容説明
我々が生きている世界は、心の中の世界=表象にすぎない。その一方で、しかし同時に「物自体」はある、とも言うカントの超越論的観念論。そのカラクリとして、基本的なものの見方・考え方の枠組みが人間の心にはあらかじめセットされているとカントは強調したわけだが、この点を強調することによって、その哲学は、後年の哲学者達の思想的転回に大きく貢献したと著者は説く。平明な筆致で知られる著者が、図解も交えてカント哲学の要点を一から説き、各ポイントが現代の哲学者に至るまでどのような影響を与えてきたかを一望することのできる一冊。
目次
はじめに
第1章 カント略伝
ケーニヒスベルクとプロイセン
両親
フリードリッヒ学院
ケーニヒスベルク大学
クヌーツェン
自然科学への関心
出版の事情
家庭教師として
二つの論文
『宇宙の一般自然史と理論』
星雲説
ラプラスの説
カントの見解
ニュートンへの不満
ランベルトと要約の刊行
再刊とラプラス
トマス・ライト
デカルトとスヴェーデンボーリー
マギスターの学位取得
私講師
昇任の試み
招聘を断って
一七五六年以後(一七七〇年まで)の著作
ヒュームを読む
沈黙の一一年と「批判期」のカント
晩年、そして逝去
第2章 なぜ「物自体」vs「表象」なのか?
最初の疑問──物自体と表象
物自体
触発と表象
原子論の「二重存在」説
物そのもの─触発─観念
ロックに関するカントの知識
ロックとのもう一つの関係
物自体はなぜ認識不可能なのか
バークリの場合
ヒュームの場合
カントの言い分
超越論的観念論
バークリの観念論との違い──「ゲッティンゲン批評」をめぐって
二つの問題
物自体と現象
第3章 解かなければならない問題
カントにとっての問題
分析判断と総合判断
カントが挙げる例
ロックの「暗示」
アプリオリとアポステリオリ
必然性と普遍性
アプリオリな総合判断
アプリオリな総合判断の実例
純粋数学
純粋自然科学
形而上学
『純粋理性批判』におけるカントの問い
純粋理性の「法廷」
第4章 コペルニクス的転回
空間
直観
純粋直観としての空間
時間もまた
知性
純粋知性概念(カテゴリー)
量のカテゴリー
質のカテゴリー
関係のカテゴリー
内属性と自存性(実体と偶有性)
原因性と依存性(原因と結果)
相互性(作用するものと作用を受けるものとの間の相互作用)
様相のカテゴリー
判断の形式
量と質
定言判断・仮言判断・選言判断
判断の様相
カテゴリー表と判断表
コペルニクス的転回──カントのもくろみ
第5章 「独断のまどろみ」から醒めて
もう一つのハードル
「独断のまどろみ」からの覚醒
因果関係に関するヒュームの見解
ヒュームショック
さらなる課題──「演繹」
経験的演繹と超越論的演繹
問題の再確認
「演繹」の自己評価と二つの面
客観的演繹と主観的演繹
客観的演繹
知覚判断と経験判断
ちょっとひと息
多様なもの
カントが自明視しているもの
第6章 主観的演繹と図式論
結合(総合)
統覚の根源的統一
認識
判断と純粋知性概念
もう一度、ちょっとひと息
図式論
『純粋理性批判』の構造
超越論的図式
図式と像
図式の具体例
図式論再説──ロックにまで戻って
対応する直観がある概念とない概念
図式と像・再説
時間と図式
第7章 アプリオリな総合判断はいかにして可能か
問いの確認と答えの基本方針
概念の「構成」
概念の「普遍性」
想像と想像力
「純粋直観において」
紙の上の作図の場合
再確認──『発見について』より
特殊性の度外視
純粋直観を頼りに
形而上学の場合
経験との関係
第二の類推における証明
「概念が可能的経験に対して持つ関係」再考
形而上学もしくは純粋哲学と、自然科学の原理のおもしろい関係
超越論的観念論再説──「ゲッティンゲン批評」に戻って
第8章 魅力と謎
超越論的観念論の魅力と謎
実在論のしっぽ
ロックとの対比・再説──歪んだ論理
新たな「物そのもの」の導入の不可能性
感覚器官の入る場所がない
つき合わせのない対応
概念図式
はしごは投げ捨てられるか──『純粋理性批判』の言説そのものの位置
あとがき
感想・レビュー
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ころこ
ラウリスタ~
うえぽん
またの名
泉のエクセリオン
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