ちくま学芸文庫<br> インド文化入門

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ちくま学芸文庫
インド文化入門

  • 著者名:辛島昇【著】
  • 価格 ¥1,287(本体¥1,170)
  • 筑摩書房(2021/05発売)
  • 夏至&父の日!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~6/21)
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  • ISBN:9784480510259

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内容説明

遠くインダス文明にまでさかのぼり、異文化が交錯する要衝の地として繁栄してきたインド。そのため現在も多様な民族、言語、宗教が混在する。また古来よりカースト制が敷かれてきたことから、社会階層も多様に存在している。しかし、どの地方、どの民族のカレーを食べてもカレーとしてのカテゴリーに収まっているように、インド文化圏は多様な中にも統一性が保たれている。それはいったいなぜなのだろうか? 映画、新聞広告、絵画、物語、遺跡、陶磁器、食べものといった身近なテーマを切り口に、インドの文化と歴史を丸ごと理解する、世界的権威によるまたとない入門書。

目次

はじめに
1 「ラーマーヤナ」をめぐって──多様な物語の発展と歴史的意味
アヨーディヤ事件
ヴァールミーキの『ラーマーヤナ』
「ラーマ物語」の意味と多様性
ラーマ信仰の展開
「文化表現」としてのラーマ物語
2 言語・民族問題──ドラヴィダ運動を中心に
四つの言語グループの来住
地方語・地方文化の成立へ
「非バラモン運動」としての展開
ドラヴィダ運動の展開
スリランカの民族紛争
3 カーストとは何か──その発生と行方
「ヴァルナ」としてのカースト
「ジャーティ」としてのカースト
スィハーナ村のジャーティ関係
歴史的に見るカースト制度
カーストの行方
4 新聞の求婚広告──バラモン社会の変動
求婚広告の増加
年齢、教育、職業、容姿、ゴートラ、誕生星
カーストの条件(バラモンの場合)
相手探しの小さな枠
二〇年後の変化
5 インダス文字の謎──コンピューターによる解読
インダス文明
文字資料と文字の種類
初期の解読者たち
コンピューター利用の解読作業
言語の比定と今後の研究
パルポラ教授の変化
6 石造ヒンドゥー寺院壁の刻文──王朝史・社会史を解く
史書なきインドの歴史
アショーカ王の刻文
ブラーフミー文字とカローシュティー文字
チョーラ朝期のタミル語刻文
刻文史料編纂所
刻文による経済史・社会史の研究
7 菩提樹の陰にて──インドとスリランカの仏教
仏教誕生の歴史的背景
仏教とヒンドゥー教
インドにおける仏教の衰亡と復興
「仏教国」スリランカ
スリランカ仏教に見られるシンクレティズム
8 デリー・スルタン朝の遺跡──ムスリム政権とインド社会
デリー・スルタン朝の成立
荒松雄教授の遺跡調査
スーフィーの役割と新しいものの出現
ヴィジャヤナガル王国宮廷の衣装
宗教信仰と文化
9 海のシルクロードとインド──胡椒・陶磁器・馬
胡椒を求めたローマ帝国
黄金島を求めて海を渡ったインド人
中国陶磁器の発掘──ペリヤパッティナム
マルコ・ポーロも記す馬貿易
海は人々を結びつけた
10 カレー文化論──南アジアの統一性
レストランでカレーを注文すると
カレーとは何か
歴史をさかのぼる
カレーの成立
多様と統一
11 ベンガル派の絵画と日本──タゴール・岡倉天心の交わり
天心のカルカッタ訪問
大観・春草のインド滞在
春草の描くシヴァとパールヴァティー
荒井寛方とナンダラール・ボース
天心の死・ベンガル派
絵画の近代化・インドと日本
12 映画に見るインド社会──映画と政治の関わり
サタジット・レイ「大地の歌」
ファールケーの映画作り
DMKとタミルナードゥの映画産業
インド映画の新しい波
スハーシニ監督インタビュー
13 ティプ・スルタンの理想──イギリスとの戦い
併合されてゆく王国
植民地化のプロセス
ハイダル・アリーの台頭とマイソール戦争
ティプ・スルタンの統治と外交
最後の戦いへ
14 インドのフェミニズム──ヒンドゥー教における女性蔑視と女神崇拝
『マヌ法典』に見る女の三従
ケーララの女性問題
プーラン・デーヴィーとインディラ・ガンディー
女神崇拝とタントリズム
インド・フェミニズムの可能性
15 マハトマ・ガンディーの試み──糸車をまわす
誕生から南アフリカ時代まで
インド国民会議派とともに
第二次世界大戦から独立へ
近代文明国家批判
心の変革と村での仕事
われわれの問題として
写真・資料提供一覧
索引
解説 平和で豊かな世界を築いていくために(竹中千春)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Sakie

17
多様極まりないインドにおいて、先にいたドラヴィダ民族と、北西方面から後からやってきたアーリヤ民族という大軸で南北の間に摩擦は生じ、一方で両文化の混交によって今のインド文化が形成されている奥深さったらない。無論その2民族のみで括れるインドでもない。ラーマーヤナが南アジア普く広まり愛されている点に政治的な意図を感じたこともあったが、むしろ地域によって土着の神や伝統と混じり無数のバージョンを展開しているあたり、どうやってもこの国の人々は一元化されたりしないのだなと感嘆した。『インド人全体で行ってきた文化表現』。2024/08/07

うちこ

5
この本「インド文化入門」は、結婚・格差・性差のところにしっかりページが割かれていて、例えば結婚の際に女性側に課せられる持参金(ダウリ)について興味深い調査結果が書かれています。 女性を差別しながら賛美する。この複雑さは、前者については「マヌ法典」を読むとよくわかり、後者は女神の登場する数々の物語で知ることができます。 ── が、われわれ外国人が理解するのはなかなか難しいもの。この本では、その混ざりかたになんとか迫ろうと、そういうポジティブな意気込みが感じられます。2023/06/08

in medio tutissimus ibis.

4
カーストはヴァルナ(階級)とジャーティ(生業)からなり、今日では後者の意味が優勢である。それは内婚、職業との結びつき、穢れによる(信仰によって必ずしもヴァルナと一致しない)上下の差別、地域性の四つの特徴を備えていたが、今日では明確に残るのは内婚のみである。同階級、同宗派(サブセクト)内でのゴートラ外婚が、およそ三十年前の新聞広告にみられるお見合い婚である。カレー、ラーマ物語、家庭に根付けなかった仏教の栄枯盛衰を見るに、インドの統一性とは、些か矛盾した言い方だが、家意識の強さと要約できるかもしれない。2021/08/17

Koki Miyachi

3
インドという国の文化を多面的に学ぶ。全体をぼんやりとは理解できたが、日本という国から見ると、あまりに異質な文化ゆえに、実際にその場に身を置かない限り理解できないと実感した。とはいえ、インドが国際的に存在感を高めている現在、その背景や考え方を学ぶことは、はじめの一歩としてとても重要。少しずつその範囲を広げ、と深度を掘り下げていくしかない。2023/07/31

belier

2
インドの歴史と文化について非常に幅広い入門書。ここまで幅広いとカタログ的で深く本に入れず読み飛ばしがちになるが、この本では軽いなりにそれぞれきっちりと紹介してくれて、読み応えがあり楽しめた。特に印象に残ったのは映画のこと。近年、インド映画は世界的に人気だが、ずっと前からこの国では映画が盛んだったのだ。娯楽映画で歌と踊りを取り込んだり、イギリスを敵役にするのは前から定番だったことを知った。また、使用言語が多様だったり、映画と政治が密接に関係したりとかがあり、社会自体の日本との違いに興味をかき立てられた。2023/04/30

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