内容説明
猫の街ウルタールの大学女子カレッジに、存亡にかかわる一大危機がもちあがった。大学理事の娘であり学生のクラリー・ジュラットが、“覚醒する世界”からやってきた男と駆け落ちしてしまったのだ。かつて“遠の旅人”であったカレッジの教授ヴェリット・ボーは、“覚醒する世界”にむかったクラリーを連れもどすため、気まぐれな神が支配し危険な生き物が徘徊する“夢の国”をめぐる長い長い旅に出る。ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作「霧に橋を架ける」の著者が、H・P・ラヴクラフトの諸作品に着想を得つつ自由に描く、世界幻想文学大賞受賞作。/解説=渡邊利道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
66
果たして女性には夢の世界を創造することは出来ないと云うのだろうか?否!それはただ単に現実を従える事が出来ない夢見る男どものひがみでしかないのではないだろうか?大部分の男は冒険者ではなく夢想家に過ぎないのだろう。その証拠に彼の作家が創造した世界に残した移し身は永遠の若さと引き換えに停滞の都に自らを縛りつけてしまっているではないか?その作家が夢想した世界をキジがなぞり歩む道程は見事に現実的細部を備えている。主人公は元の世界に戻ることは叶わないが現実と云うこちらの世界で日常と云う冒険を生きていく姿が暗示される。2021/08/31
星落秋風五丈原
27
女性教授結構高齢の設定ですよね。なのに語尾が「だよ」っていうのが違和感が。2021/07/18
かとめくん
17
クトゥルーの神々が存在し、世界の法則も一定でない世界の少女が、我々の世界へ駆け落ちしてしまった。暴虐な神の血を引く彼女の不在が知れたらこの街は破滅を迎えることになる。彼女を連れ戻すために旅立ったのは、彼女を指導する元冒険者の55歳の女性教授だった。この話は作者が主人公と同じ年齢でなければ書けなかった話です。小説の作者が登場人物と同じ年齢でなければいけないわけではありませんが、この本に限ってはそのシンクロがものすごい重要な要素になっていると感じます。最近多い異世界物の要素も含め面白かった。2023/01/30
ペペロニ
13
ファンタジーな世界観を普段読まないので初めは面食らったが、割とすぐ物語の世界へ入っていけた。55歳の女性・ヴェリットが世界を救う為、クリーチャーひしめく危険な旅路を行く設定が良い。歳を重ねたからこそ得たもの、失ったものが旅で浮き彫りになっていく。ラストの着地点は結構好き。2021/10/10
スターライト
13
作者が10歳の時に読んで夢中になったラヴクラフトの「未知なるカダスに夢を求めて」を彼女なりに語りなおしたともいえる中篇。我々の世界の「地下にある」世界の街ウルタールの女子カレッジから”覚醒する世界”の男と駆け落ちしていなくなった学生を、女性教授ヴェリットが連れ戻そうとする。悪意ある神々の支配するその世界には様々なクリーチャーが潜み、ヴェリットの道中は当然不穏な色に包まれる。その旅は55歳となった自分の過去をたどるのにも似て、最後まで読み終わった時にはまさに彼女の物語だったのだと合点がいった。2021/07/26
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