内容説明
「くどうれいん」名義で『わたしを空腹にしないほうがいい』『うたうおばけ』などのエッセイや小説作品『氷柱の声』など、作家として活躍する著者、待望の第一歌集。
天性のあかるさとポエジーをあわせ持つ歌の数々は、まるで光そのもののように読み手を照らし出す。16歳の時より書き続けてきた短歌作品から、厳選316首を収録。
目次
◆目次
I
水中で口笛
夜の海
コスモス
すもも齧る
光源
ひらかれる
休符
氷柱
啄木を殴りたい日
ほんものの銀河鉄道
II
Siesta(2013)
みんなみたいな
シンルチュ
春の知恵の輪
白蛇
ハムカツ
ここから
III
きみちゃん
電球売り場
まっすぐに来る
笹舟
獅子色
ながい動画
葉言葉
ひらめいた
令和まだ
IV
通勤が好き
なか卯ソング
秋のてんや
冬の銀だこ
ひゅーもー
ほそながい
花束に〓(さんずい)
増量
ぶおおんと
薔薇泥棒
でんぶ
Clouds are geneus
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tenori
51
工藤玲音さんの第一歌集。あとがきには堂々とこう記されている。『おわりに、石川一さんへこの歌集を捧げます。どうだ。わたしはいま、ここにいます』と。石川一=石川啄木であり、啄木と同郷(岩手県盛岡市渋民)の玲音さん流のリスペクトの仕方であり、挑戦状だと思うと楽しくなる。短歌の枠組にとらわれない破調を含む自由な言葉は明るく、せつなく、パワーに溢れている。それは啄木とは異なる世界で同列ではない。ただ、岩手の風土に対する愛着と、何やら執着のようなものは共通している気がする。東北人は東北が好きなのだ。2021/05/09
konoha
47
「氷柱の声」のくどうれいんさんの歌集。スマホの写真や動画機能を思わせながらも、若く、瑞々しい感性で切り取った風景、言葉の組み合わせ、リズムが楽しい。一瞬も、永遠も慈しむ気持ちを感じる。なか卯、てんや、銀だこなど、章のタイトルも身近で、ユニーク。東京に過度にあこがれない東北/東京の視点が新鮮。「ガーベラもダリアも花と呼ぶきみがコスモスだけはコスモスと呼ぶ」「あこがれは棒を使って掴み取れ自撮りに星は写り込まない」「二両目に乗ると三駅目で桑の実と葉が窓のすぐそばに来る」2021/08/29
chiaki
34
『氷柱の声』を読んでから好きなくどうれいんさんの第一歌集。工藤さんが短歌をはじめた高校時代〜社会人になるまでに作られた短歌から316首を石川啄木の命日にあわせて刊行されたもの。まずタイトルに惹かれます!工藤さんの歌には盛岡が息づいていて、啄木への想いや、盛岡の雪模様、震災後の故郷のこと、祖母のことを歌ったものは特に心に沁みる。「祖母のこと思い出すとき〜」は、私の祖父との思い出が重なって何度も読み返してしまう。「呆けた祖母を〜」の「ぐわり」という表現の捉えどころのない重さがたまらなく好き。2025/08/06
あや
32
くどうれいんさんとの出会いは東直子さんとの共著であった。本歌集は2021年刊。2025年3刷である。巻頭歌がいちばん好きです。啄木と同郷であるという、くどうさん。何気ない日常を詠みつつなんとも言えない味わい深い詩情がたちのぼる。 水中では懺悔も口笛もあぶく やまめのようにきみはふりむく/離れつつあるがなかなか視界から消えない晩夏のヤクルトレディ/死はずっと遠くわたしはマヨネーズが星型に出る国に生まれた/首都直下自信がきたらおわりだねおわりだろうね あっふきのとう2025/05/12
夏
26
読んでいて情景が浮かぶ、色が浮かぶと感じる短歌集だった。著者のことは存じ上げなかったけれど、言葉の選び方がとても美しく、まるで綺麗な風景を見ているような気持ちになった。東北をモチーフに書かれているものも結構あって、地元を大切にしている方なんだとも感じた。『水中で口笛』という題名に惹かれ、中身もタイトルと同じくらい、または凌駕するくらい良くて、読んでよかったなと思った。著者はわたしと年がいくつも離れていなくて、同年代の人がどんどん活躍していく様がとても眩しい。★★★★☆2021/10/06
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