内容説明
70すぎたら愉しくなった
「老後」を受け入れて初めて、大切なものが見えてくる。
粋と喜びに彩られた“オオタ式”享楽人生論
「ながく生きてきて、ものごとが見えてきた。社会的地位が高い・低いなどという価値観はとうに消えた。そういうことにこだわる人はつまらん人だとわかってきた。立身出世をはたした、経済的に成功した、それがどうした。頭がいいとか、リーダーシップがあるとかも、どうでもよいことになった。人生の価値観が変わったのだ。」(本文より)
【目次】
まえがき
1 酒場で飲む
2 酒を味わう
3 旅に出る
4 古い映画を見る
5 一人を愉しむ
6 私の東京物語
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
74
著者の太田和彦さんは元、資生堂のデザイナー。今もデザイナーとして活躍しているが、別の顔は居酒屋探訪家。太田さんの生き方に憧れて、著作のほとんどを読んでいるが、本書もそんな世界の文章を集めたもの。いろんな原稿の寄せ集めなので、様々な事が書かれているが、特に良かったのは、やはり全国の居酒屋の紹介と、居酒屋での作法。これらの店に実際に訪れることはないと思うが、読んでいて羨ましくなる。そして文章の端々に、堅苦しくない人生訓が込められているのも良い。とても楽しいエッセイ集だった。2018/11/10
おいしゃん
30
いつもの居酒屋紹介だけでなく、趣味の話や来歴に関するエッセイも多く含まれ、太田さんの生き様がよくわかる一冊。 仕事もしっかりこなし、趣味もとことん、こういう生き方ができれば素敵だ。2021/11/23
C-biscuit
19
図書館新刊コーナーで借りる。この本は、余生を楽しむような本で、70歳を過ぎた著者の過ごし方が書かれている。居酒屋について有名な人のようなので、各地方にある居酒屋について詳しい。読んでいると一杯やりたくなる。基本的にはタイトルのとおり、大勢でわいわいがやがややるのではなく、一人でゆっくりと過ごすような時間の使い方を紹介している。戦後の映画や女優などの話もあるが、やはり同年代でないと共感がわきにくいと感じる。終活的な要素もあり、まだ読むのは早かったかなとも思う。挿絵は味のある雰囲気でいい味を出している。 2019/01/09
Naoko Takemoto
14
太田和彦vs吉田類、なんて下世話なことを考えつつ読んでいた。太田さんの著作は殆ど読んでおり、著作本を持って旅に出たこともある。最近の著作は自分の生き方を振り返るものが多い気がするが、今回も同様。ただ結構なぶっちゃけ話があり、集大成である感がした。日本中の居酒屋を探訪してきた太田さんが行き着いた居酒屋と作法は、一本筋の通った(言い換えると結構お高い)店で、上質なものを自己解釈しながら味わうことを流儀としているような。確かに年をとってくるとザワザワした店はうっとおしいんだけど・・女一人でも歓迎してくれるかね?2018/11/09
mawaji
13
20代30代の頃のアルコールとの関わり方はまさにお酒に飲まれていたような日々ばかり。そういえば伊勢藤でお店の人に「お静かに」と書かれた半紙をスッと差し出されたことがありましたよ、これはもう汗顔の至り。この歳になると初めての居酒屋さんにもなんとか一人で入れるようにはなりましたが太田さんのように酒品を備えた酒客になるにはまだ20年くらい早い感じです。この本を指南書として精進したいと思います。盛岡「とらや」の温奴、気になりマス。名古屋「大甚本店」と京都「神馬」は著者の他の著書でも目にしましたがぜひ行ってミタイ。2018/12/05