内容説明
シェフの亮は鬱屈としていた。創作ジビエ料理を考案するも、店に客が来ないのだ。そんなある日、山で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。彼の腕を見込んだ亮は、あることを思いつく……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
288
11章立て。フレンチシェフの話で、料理とかレストラン経営を中心としたお話かと思ったら、主題は随分と違っていてね。ジビエ料理と狩猟、害獣に関するものでした。“害獣”って言うのも、人間の一方的な主観に依る言葉ですね。人間側の勝手な言い分ではありますが、鹿などの害獣は人との関わりの中で数をコントロールしなければならない。一方でその命を無駄にする事も望ましくないので、供養では無いですが食としてその命を引き受ける事は必要なのかな。答えが一意に定まるものでは無いだけに難しいですが、考えないわけにはいかない問題ですね。2025/06/27
Nao Funasoko
185
ドラマ『シェフは名探偵』の原作者として知った著者作品初読み。 生きることに不器用そうなシェフが同じく生きることが不器用そうな猟師と出会いジビエを仲介し物語は進む。 事件そのものは特筆すべきものでもなかったが、ジビエという素材自体も一章ごとのボリュームやリズム感といった文体も私好みの作品。バイプレイヤーたちも今後自由に動き出してきそうなキャラばかり。切にシリーズ化を願う。2021/08/24
ひさか
162
2019年2月角川書店刊。2021年5月角川文庫化。ジビエ料理と調達とそれを取り巻く人々と犬達のストーリー。ジビエ料理って難しいもんなんだと思いました。2021/07/06
venturingbeyond
147
フレンチシェフの潮田と猟師の藤高に加えて、マレーのオーナーの澤山に、バイトの若葉とそれぞれの人物造形が絶妙で、一気に読了。鳥獣を屠り、その肉を喰らうのに、小売りに並ぶ精肉の川上にある屠殺に思いを至らせることはなく、その一方でペットを家族同様に思う者も数多く存在する現代において、狩猟・害獣駆除・ジビエとしての提供などの場面のリアルな描写は、読者それぞれに日常を振り返らせ、自らの食や生について考えさせるものとなっている。エンターテイメントとしてさらりと読めるが、テーマは軽くはない。2023/01/21
Kazuko Ohta
142
グルメ×ミステリー小説が溢れるなか、どのジャンルの料理を取り込むかはある種のニッチ産業のように思います。そうだ、ジビエ料理は今までにない。料理学校では優等生だったのに、いざシェフを任されると次々と店を潰してしまう主人公・潮田。ジビエを偏愛する女性オーナーの目にとまったものの、やはり閑古鳥。猟に入った山で遭難しかけたときに助けてくれたのが無愛想な猟師・大高。なんとも美味しそうな数々の料理。だけど予想していたよりもずっとミステリー。鹿の出没にうんざりするわが家の周辺ですが、本作を読むと少し見方が変わる。 2023/11/02
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