内容説明
混迷を生き貫く思考の発条。花田清輝の秀抜の遺著――『乱世今昔談』をどうしても『ここだけの話』と改題希望した著者の遺志を実現し、遺著『箱の話』と合わせ、花田清輝の常にインターナショナルな、発見的思考の持続を顕彰し、混迷する思想・時代状況を生き、貫いて行く根源力を提示。今日さらに重要な意味を加え続ける、花田清輝の貴重な1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mstr_kk
3
しょーもない話も多かったですが、総じて心地よいエッセイ・評論でした。「売文家」的なポジションから皮肉たっぷりの逆説を繰り出し、そこに説得力を与えていって、最後は自虐ネタみたいなのでしめる。しかも読みやすい。2024/08/18
yunomi
3
花田清輝の本を読むのが好きです。彼が提唱したアヴァンギャルド芸術という概念は、それが果して実現されたかどうかも不明なまま、アヴァンギャルドという言葉だけがひとり歩きし使い尽され、ボロボロにすりきれて世の中の隅っこにほったらかしにされているのかもしれません。でも、時々誰かがそのボロきれを拾い上げて、何かを生み出そうと悪戦苦闘している。晩年のエッセイがまとめられた本書ではどこか達観したような語り口が目を引きますが、それでも彼は時代の傍観者になる事を否定し続けました。彼の意志を、誰かが今でも引き継いでいます。2017/09/20