内容説明
家族が認知症になった。悪気はない。それでも周囲に迷惑をかけてしまう。家族以上に戸惑い、苦悩しているのは本人なのではないか。いろんな事件が起こる認知症当事者と家族の日々。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
203
カバー画とイラストに油断して、沼にハマって今苦しい。【認知症】の症状とその過程は様々だけれど、本人の苦悩は想像するしかできない未知の世界。お母さんは怒りを抱えたんだ…この家族の葛藤が多少なりとも分かってしまうのが辛い。本人の焦りや不安、孤独と悲しみに私はどれだけ寄り添えているだろう。どんどん遣る瀬無さが膨れ、村井さんが事実に基づいて書かれている物語だと何度も確認してしまった。200ページにも満たない厚さなのにズシリと重い読書だった。あとがきを読んで、村井さんは受容されたのだろうなと感じた。私はまだ遠い…2021/07/08
青乃108号
198
先日読んだこだまさんのエッセイで紹介されていたので読んでみた。びっくりするくらいアッと言う間に読める本。認知症の母視点で描かれた彼女の日常。残念ながら著者の意図は十分に伝わっているとは言い難い。笑いに寄せるのかシリアスな現実を突き付けるのか、どちらでもない中途半端な内容。実際に認知症患者を抱えた家族の心労はとてもこんな物ではありません。一冊の本として出版するにはかなり内容不足。ほんの少しだけ、俺の亡き母もこんな風に不安だったんだな、辛かったろうなとしんみりはさせられたけど。今年最後の一冊にはしたくない。2023/12/28
bunmei
171
この世に生まれし誰もが歳を取り、老いていく運命。病に身体が蝕まれ、死を迎える人もいる。また脳の衰えによる認知症によって、社会に適応できなくなり孤立していく人もいる。本作では、認知症を患った義母の視線で綴られているので、義母がこれまでとは違う違和感から生じた、怖れや怒り、傲慢な解釈等が描かれている。自分の父親も亡くなる2年は認知症が進行し、介護していた母親の手を焼かせ、厳しく諫めた場もあった。しかし、本作の義母の言動と重なる部分も幾つかあり、改めて、その時の父の思いに、少し寄り添えたようにも感じた。 2022/09/15
モルク
148
認知症の義母の語り。もちろん本人は健康で頭もしっかりして…のつもり、認知症なんてつゆとも思っていない。だから人がしてくれることに悪意を感じ全てに疑心暗鬼となりその上嫉妬深い。あっという間に読み終えて、面白い…と言うべきなのだろうか。数年前までの長い母の介護を思いだし切なくなる。否定しないで受け入れて…と言われたが四六時中となるとこちらの身が持たない。真夜中でも知人に電話をかけそして私が怒られる。あの悪夢の日々…今度は自分が迷惑をかけてしまう立場になるのが怖い。2022/06/15
fwhd8325
137
これが認知症なのか。確かにこのような状況に遭ったことがあります。全員悪人とはなかなか言い得て妙なタイトルだと思います。もっと愉快に読めるものかと思っていましたが、案外シリアスに感じてしまった。2021/10/26