分子シャペロン - タンパク質に生涯寄り添い介助するタンパク質

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分子シャペロン - タンパク質に生涯寄り添い介助するタンパク質

  • 著者名:仲本準
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • コロナ社(2021/05発売)
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  • ISBN:9784339067590

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内容説明

細胞の多くのタンパク質に付き添い,それらの機能を保証し,さらにはがんなどの多様な病気にも深く関わる分子シャペロンという特殊なタンパク質について,その発現調節,構造・機能,病気・創薬との関わりについて解説した入門書。

目次

Ⅰ編 総論
〈プロローグ〉
1. ストレス
1.1 セリエとストレス
1.2 熱(高温)ストレス
 1.2.1 細胞の形態学的変化・異常
 1.2.2 呼吸と光合成機能の異常
1.3 Hspと獲得性熱耐性

2. 熱ショック応答
2.1 熱ショックパフと熱ショック応答の発見
2.2 Hspの発見
2.3 Hsp遺伝子のクローニングとHspの普遍性

3. 熱ショック応答の分子メカニズム
3.1 グラム陰性菌である大腸菌における熱ショック応答の正の調節―シグマ32レギュロン―
 3.1.1 シグマ32因子の発見
 3.1.2 シグマ32因子の細胞内濃度の調節
 3.1.3 シグマ32因子の活性調節
 3.1.4 熱ショックレギュロンの負のフィードバック制御機構
3.2 グラム陽性菌である枯草菌における熱ショック応答の負の調節―CIRCEレギュロン―
3.3 独立栄養生物であるシアノバクテリアにおける熱ショック応答の正と負の調節―K?boxレギュロン―
3.4 真核細胞における熱ショック応答の調節
 3.4.1 HSF1の構造
 3.4.2 HSF1のDNAへの結合
 3.4.3 HSF1の活性調節機構
3.5 高温の感知とタンパク質の安定性

4. タンパク質の形と折りたたみ
4.1 タンパク質の形と機能
4.2 タンパク質の変性・凝集
4.3 凝集しやすいタンパク質
4.4 タンパク質の折りたたみは容易ではない
4.5 タンパク質はそれ自身で正しく折りたたむ(アンフィンセンのドグマ)
4.6 細胞内で正しく折りたたむのはさらに難しい

5. 分子シャペロン
5.1 ルビスコ結合タンパク質の発見
5.2 細胞におけるタンパク質の構造形成を助けるタンパク質
5.3 分子シャペロン概念の提唱
5.4 さまざまな分子シャペロンと分子シャペロンの一般的な定義

6. 分子シャペロンはタンパク質の誕生から死まで関与する
6.1 タンパク質の合成(誕生)
6.2 タンパク質の適材適所配置(オルガネラ局在)
6.3 タンパク質の分解(死)

Ⅱ編 各論
〈プロローグ〉
7. Hsp60/シャペロニン/GroEL
7.1 生物種間分布,細胞内局在,二つのサブファミリー
7.2 基質
7.3 構造と機能
 7.3.1 研究の幕開け
 7.3.2 GroELの構造
 7.3.3 GroELのシャペロン作用機構
 7.3.4 TRiC(CCT)やthermosome
7.4 葉緑体シャペロニンCpn60
7.5 大腸菌以外のバクテリアのGroEL
7.6 進化と難病への関与
 7.6.1 進化分子工学
 7.6.2 難病

8. Hsp70/DnaK
8.1 研究の端緒
8.2 Hsp70/DnaKの生物種間分布,細胞内局在,必須性
8.3 Hsp70/DnaKの構造と機能
8.4 Jタンパク質/DnaJ/Hsp40
 8.4.1 構造の多様性・分類
 8.4.2 生物種における多様性
 8.4.3 生理学的・生化学的な機能
 8.4.4 Jドメイン依存および非依存のJタンパク質の機能
8.5 ヌクレオチド交換因子(NEF)/GrpE
 8.5.1 GrpEの構造と機能
 8.5.2 温度による機能調節
 8.5.3 さまざまなヌクレオチド交換因子(NEF)と機能
8.6 Hsp70/DnaKシャペロン系のシャペロン作用
 8.6.1 非天然構造タンパク質(基質)の折りたたみ機構
 8.6.2 複合体の会合や解離への関与
8.7 難病,阻害剤と薬
 8.7.1 がんのHallmarks,がんなどの難病への関与
 8.7.2 阻害剤と薬の探索や開発

9. Hsp90/HtpG
9.1 研究の端緒
9.2 生物種間分布,細胞内局在,必須性
9.3 構造
9.4 基質(クライアント)
 9.4.1 さまざまなクライアント
 9.4.2 Hsp90/HtpGとクライアントの相互作用
9.5 コシャペロン
 9.5.1 TPRドメインをもつコシャペロン
 9.5.2 TPRドメインを介さずに相互作用するコシャペロン
 9.5.3 種によるコシャペロンの違い
 9.5.4 小胞体Grp94/gp96のコシャペロンPRAT4A
9.6 進化への関与
9.7 難病への関与
 9.7.1 がん
 9.7.2 神経変性疾患
 9.7.3 嚢胞性線維症
9.8 阻害剤と薬

10. Hsp104/ClpB
10.1 研究の端緒
10.2 存在と必須性
10.3 構造
 10.3.1 AAA+ファミリー
 10.3.2 各ドメインと機能
 10.3.3 六量体構造
10.4 作用機構
 10.4.1 アンフォールディングと糸通し
 10.4.2 Hsp70/DnaKシャペロン系と連携したHsp104/ClpBの脱凝集メカニズム
10.5 細胞における機能
 10.5.1 タンパク質凝集塊の可溶化
 10.5.2 酵母プリオンの伝播
 10.5.3 核におけるmRNAスプライシング

11. 低分子量Hsp
11.1 研究の端緒
11.2 生物種間分布,細胞内局在
11.3 構造と機能
 11.3.1 構造的特徴
 11.3.2 シャペロン作用機構
 11.3.3 基質とその認識
11.4 sHspオリゴマーの解離・会合とシャペロン機能調節
 11.4.1 熱ショックによる調節
 11.4.2 sHspのリン酸化による調節
 11.4.3 ヘテロオリゴマー形成による調節
11.5 sHspのストレス耐性やさまざまな病気への関与
 11.5.1 ストレス耐性
 11.5.2 タンパク質分解や細胞死
 11.5.3 白内障
 11.5.4 がん
 11.5.5 筋疾患や神経変性難病

引用・参考文献
索引