内容説明
「ドライプロセスによる表面処理・薄膜形成の基礎」の応用編。第Ⅰ編「ドライプロセスの基盤技術」および第Ⅱ編「ドライプロセスの応用」から構成され,研究現場や製造現場で的確にドライプロセスが実施できるよう工夫し解説した。
目次
第Ⅰ編 ドライプロセスの基盤技術
1. 真空技術
1.1 ドライプロセスの中の真空技術
1.2 絶対圧とゲージ圧
1.3 真空下での気体の挙動
1.4 プロセス容器の真空排気特性
1.5 ドライプロセスにおける真空の必要性
1.6 大気成分の化学的影響を排除する(1)清浄表面の確保
1.7 大気成分の化学的影響を排除する(2)膜中不純物の管理
1.8 平均自由行程を確保する
1.9 真空を作る:真空ポンプ
1.10 真空を測る:真空計
2. ガス制御
2.1 ドライプロセスに必要なガス制御技術
2.2 バルブの構造と取付け方向
2.3 減圧弁
2.4 気体の流量制御
2.5 液体原料の気化供給系
3. プロセスモニター
3.1 膜厚モニター
3.2 ガス分析
3.2.1 質量分析法および装置の概略
3.2.2 イオン化法と質量分析法の種類
3.2.3 四重極型質量分析法の特徴
3.2.4 四重極型質量分析による測定結果の例
3.3 プローブ計測
3.3.1 ラングミュアプローブ
3.3.2 マイクロ波領域の共振を利用したプローブ
3.4 プラズマ発光分光法によるプロセス診断
3.4.1 プラズマ発光分光法の概要
3.4.2 プラズマ発光分光に必要な装置
3.4.3 プラズマ発光分光によるプロセスモニタリング例
3.4.4 プラズマ発光スペクトルの解釈
第Ⅱ編 ドライプロセスの応用
4. 光学薄膜
4.1 真空蒸着と光学薄膜
4.2 光学薄膜の原理
4.3 光学薄膜の種類
4.3.1 反射防止膜
4.3.2 反射膜
4.3.3 フィルター,ミラー
4.4 光学薄膜の作製技術
4.4.1 真空蒸着
4.4.2 光学薄膜の特徴と作製技術の発展
5. トライボロジー薄膜
5.1 機械部品への応用に適したトライボコーティング
5.1.1 摩擦のメカニズム
5.1.2 固体潤滑トライボコーティングの機能と特徴
5.1.3 硬質トライボコーティングの機能と特徴
5.1.4 ナノコンポジット系トライボコーティングの機能と特徴
5.2 薄膜のナノトライボロジー
5.2.1 薄膜と評価
5.2.2 極薄膜のトライボロジー応用
5.2.3 走査型プローブ顕微鏡(SPM)のナノトライボロジー評価への応用
6. 表面硬化処理
6.1 ラジカル窒化と複合硬化処理
6.1.1 ラジカル窒化
6.1.2 複合硬化処理:ラジカル窒化+PVDコーティング
6.1.3 複合表面処理の応用例
6.2 PVD,CVD
6.2.1 PVD
6.2.2 CVD
7. 耐環境性皮膜
7.1 溶射プロセスによる耐環境性皮膜の特徴
7.2 溶射プロセスの概要
7.3 遮熱皮膜
7.4 防食・耐食皮膜
7.5 耐摩耗皮膜
8. ガスバリア膜
8.1 ガスバリア
8.2 ガスバリア評価技術
8.2.1 クローメトリック法
8.2.2 カップ法
8.3 シート系バリア成膜技術
8.3.1 概要
8.3.2 ロールtoロールプラズマアシスト蒸着装置
8.3.3 プラズマCVD装置
8.4 ボトル系バリア成膜技術
8.4.1 概要
8.4.2 PETボトル内面コーティング装置
9. 親水性とはっ水性
9.1 親水性・はっ水性とその応用分野
9.2 化学的にみた親水性とはっ水性
9.2.1 親水・はっ水の原理
9.2.2 凝集力と界面エネルギー
9.2.3 固体の表面張力(表面エネルギー)
9.2.4 親水・はっ水現象─水滴の接触角と表面エネルギー
9.2.5 臨界表面張力と親水性・はっ水性
9.3 表面の物理的構造制御による超親水化・超はっ水化
9.3.1 ウェンゼルの表面
9.3.2 カッシー-バクスターの表面
9.3.3 超親水表面と超はっ水表面
10. 高分子材料の表面処理
10.1 プラズマ
10.1.1 プラズマ処理の特徴
10.1.2 プロセスダメージを低減可能なプラズマの生成と制御
10.1.3 プラズマとソフトマテリアルとの相互作用
10.1.4 プラズマを用いたソフトマテリアル表面処理の展望
10.2 光による高分子表面処理
10.2.1 光による高分子表面処理
10.2.2 真空紫外光による分子励起と共有結合の解離
10.2.3 シクロオレフィンポリマーの酸素増感VUV表面改質
10.2.4 VUV表面処理の応用例
10.2.5 光プロセスの特徴
11. 炭素系薄膜
11.1 ダイヤモンド薄膜
11.1.1 工業用ダイヤモンド
11.1.2 ダイヤモンドの物性と応用
11.1.3 合成の歴史
11.1.4 気相合成法
11.1.5 気相合成の反応機構
11.1.6 ダイヤモンド薄膜の今後の課題
11.2 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)
11.2.1 ダイヤモンドライクカーボンとその作製方法
11.2.2 物理的・化学的特性
11.2.3 機械的特性
11.3 窒化炭素薄膜
11.3.1 窒化炭素とは
11.3.2 窒化炭素の合成
11.3.3 マイクロ波プラズマCVDによる窒化炭素の合成
11.3.4 窒化炭素の電界電子放出特性
11.3.5 窒化炭素のトライボロジー特性
11.3.6 窒化炭素の今後の展望
11.4 ナノカーボン
11.4.1 カーボンナノチューブ
11.4.2 グラフェン
12. ドライプロセスと医療
12.1 ドライプロセスによる人工股関節部材の高機能化
12.1.1 部材界面・表面の高機能化による高度生体親和性付与技術の開発
12.1.2 骨質改善用治療薬の活用技術の開発
12.1.3 形態・力学適合関節部材の開発
12.2 ドライプロセスと医療
12.2.1 大気圧プラズマの医療応用への展開
12.2.2 大気圧プラズマによるがん治療の歴史
12.2.3 プラズマ活性溶液によるがん治療
12.2.4 プラズマと細胞との相互作用
12.2.5 プラズマがん治療の作用機序
引用・参考文献
索引