内容説明
ディジタル移動通信分野の開発・研究で世界的に有名な著者が,関連技術の初期の技術から最新技術までをその基礎と応用分野の全体像について,多くの数式や図表を用いて体系立てて詳説している。関連技術者・研究者にとっての必携書。
目次
1. 序論
1.1 ディジタル移動無線通信方式
1.2 移動無線通信ディジタル化の目的
2. 信号と線形システムの基礎
2.1 信号解析
2.1.1 デルタ関数
2.1.2 フーリエ解析
2.1.3 信号
2.1.4 ディジタル信号
2.1.5 変調信号
2.1.6 等価ベースバンド複素表現
2.2 雑音解析
2.2.1 通信システムにおける雑音
2.2.2 雑音の統計的性質
2.2.3 雑音の電力スペクトル密度
2.2.4 フィルタ通過後の雑音の自己相関関数
2.2.5 帯域通過雑音
2.2.6 帯域通過雑音を含んだ正弦波信号の包絡線と位相
2.2.7 相関を有する確率変数の生成とその確率密度関数
2.3 線形システム
2.3.1 線形時不変システム
2.3.2 線形システムの応答
2.3.3 システムの微分方程式による記述
2.3.4 線形システムの例
2.4 離散時間システム
2.4.1 標本化と標本化定理
2.4.2 離散時間信号のエネルギー,電力,相関
2.4.3 離散時間信号のフーリエ変換
2.4.4 離散時間システムの応答
2.4.5 差分方程式による表現
2.4.6 ディジタルフィルタ
2.4.7 ダウンサンプリング,アップサンプリングおよびサブサンプリング
2.4.8 逆回路
2.4.9 窓関数
2.4.10 離散フーリエ変換(DFT)
2.4.11 高速フーリエ変換(FFT)
2.5 最適化問題の解法と適応信号処理
2.5.1 最適化問題の解法
2.5.2 適応信号処理
3. ディジタル通信方式の基礎
3.1 パルス整形
3.1.1 ナイキストの第1基準
3.1.2 ナイキストの第2基準
3.1.3 ナイキストの第3基準
3.1.4 その他のパルス整形法
3.2 線路符号
3.2.1 単極性(オン・オフ)符号と極性符号
3.2.2 多値符号
3.2.3 グレイ符号
3.2.4 マンチェスター(スプリットフェーズ)符号
3.2.5 同期周波数偏移変調符号(同期FSK符号)
3.2.6 相関符号化
3.2.7 差動符号化
3.3 信号検出
3.3.1 C/N,S/N,およびEb/N0
3.3.2 ビット誤り率
3.3.3 NRZ信号の積分放電フィルタ検出方式
3.3.4 ナイキスト・信号方式
3.3.5 整合フィルタ
3.3.6 送受信フィルタの同時最適化
3.3.7 最適受信機
3.3.8 最尤受信機とビタビアルゴリズム
3.3.9 符号間干渉がない場合の最適受信機
3.4 同期
3.4.1 シンボルタイミング再生
3.4.2 フレーム同期
3.5 スクランブル
3.6 公開鍵暗号方式
3.7 多重伝送
3.8 通信路容量
4. 移動無線通信伝送路
4.1 伝搬損
4.2 シャドウイング
4.3 レイリーフェージング
4.3.1 高周波電力スペクトル
4.3.2 同相・直交成分の相関
4.3.3 包絡線の相関
4.3.4 包絡線の空間的相関
4.3.5 ランダム周波数変調(ランダムFM)
4.4 遅延広がりと周波数選択性フェージング
4.4.1 コヒーレント帯域
4.4.2 周波数選択制フェージング
4.5 遠近問題
4.6 同一チャネル干渉
4.6.1 レイリーフェージング環境下
4.6.2 シャドウイング環境下
4.6.3 レイリーフェージングとシャドウイングの組合せ
4.6.4 議論
5. ディジタル変調の基礎
5.1 ディジタル変調信号
5.2 線形変調と定振幅変調
5.3 ディジタル変調
5.3.1 位相偏移変調(PSK)
5.3.2 周波数偏移変調(FSK)
5.3.3 定包絡線位相偏移変調(定包絡線PSK)
5.3.4 直交振幅変調(QAM)
5.4 ディジタル変調信号の電力スペクトル密度
5.4.1 線形変調
5.4.2 ディジタル周波数変調(ディジタルFM)
5.5 復調
5.5.1 同期検波
5.5.2 包絡線検波
5.5.3 差動(同期)検波
5.5.4 周波数弁別検波
5.5.5 フェージング回線における誤り率
5.6 ディジタル通信システムの計算機シミュレーション
6. 移動無線通信におけるディジタル変調
6.1 アナログFM無線通信システム用ディジタル変調
6.2 定包絡線変調
6.2.1 最小偏移変調(MSK)
6.2.2 パーシャルレスポンスディジタルFM
6.2.3 ナイキスト帯域制限ディジタルFM
6.2.4 特性比較
6.3 線形変調
6.3.1 r/4シフトQPSK
6.3.2 8値PSK
6.3.3 16QAM,64QAM
6.4 スペクトル拡散方式
6.5 マルチキャリア伝送
6.5.1 直交周波数分割多重(OFDM)
6.5.2 マルチキャリアディジタル信号の生成と復調
6.5.3 マルチキャリア伝送における受信
6.6 単一搬送波周波数分割変調
7. ディジタル移動無線通信におけるその他の関連技術
7.1 ダイバーシチ通信方式
7.1.1 SN比の確率密度関数
7.1.2 平均誤り率
7.1.3 複数基地局送信ダイパーシチ
7.1.4 アンテナ選択ダイバーシチ
7.2 MIMOシステム
7.2.1 最大比合成ダイパーシチ
7.2.2 時空間符号
7.2.3 空間分割多重伝送
7.3 適応自動等化器
7.3.1 線形等化器
7.3.2 等化における特性評価基準
7.3.3 判定帰還等化器
7.3.4 ビタビ等化器
7.3.5 適応アルゴリズムと予測アルゴリズム
7.3.6 予等化
7.3.7 周波数領域等化器
7.3.8 ターボ等化器
7.3.9 歪み等化器に関する議論
7.3.10 移動無線通信への適用
7.4 誤り制御技術
7.4.1 線形ブロック符号
7.4.2 巡回符号
7.4.3 たたみ込み符号
7.4.4 連接符号
7.4.5 ターボ復号
7.4.6 低密度パリティ検査(LDPC)符号
7.4.7 事前確率と誤り率の現象論的表現
7.4.8 自動再送要求(ARQ)
7.4.9 移動無線通信への適用
7.5 トレリス符号化変調
7.6 適応干渉抑圧
7.7 音声符号化
7.7.1 パルス符号変調(PCM)
7.7.2 デルタ変調
7.7.3 適応差分PCM(ADPCM)
7.7.4 適応予測符号化
7.7.5 マルチパルス符号化
7.7.6 符号励振LPC(CELP)
7.7.7 LPCボコーダ
7.7.8 移動無線通信への適用
8. ディジタル移動無線システムの装置と回路
8.1 基地局
8.2 移動局
8.3 スーパーへテロダインと直接変換受信
8.4 送信と受信の多重
8.5 周波数合成器
8.6 送信回路
8.6.1 ディジタル信号波形発生器
8.6.2 FSK変調器
8.6.3 線形電力増幅器
8.6.4 送信電力制御
8.7 受信回路
8.7.1 AGC回路
8.7.2 論理回路を用いた信号処理
8.7.3 復調器
8.8 直流遮断および直流オフセットへの対策
9. ディジタル移動無線通信システム
9.1 基本的な概念
9.1.1 セルラー方式
9.1.2 多重アクセス
9.1.3 回線割当て
9.1.4 FDMA,TDMA,CDMA
9.1.5 セル間干渉の抑圧
9.1.6 中継伝送方式
9.2 アナログ移動無線通信システムにおけるディジタル伝送
9.3 無線呼出しシステム(ページング)
9.4 双方向ディジタル移動無線
9.5 移動無線データシステム
9.5.1 MOBITEX
9.5.2 テレターミナルシステム
9.5.3 アナログセルラー方式における移動無線データシステム
9.6 ディジタルコードレス電話
9.6.1 CT-2
9.6.2 DECT
9.6.3 PHS
9.7 ディジタル移動電話システム
9.7.1 GSM方式
9.7.2 北米におけるディジタルセルラーシステム
9.7.3 日本におけるディジタルセルラーシステム
9.7.4 第2世代システムの進化
9.7.5 第3世代システム
9.7.6 3Gシステムの進化
9.7.7 WiMAX
9.8 無線LAN
付録
付録2.1 ディリクレ型のデルタ関数
付録2.2 デルタ関数に対する試験関数の条件
付録2.3 三角関数の公式
付録4.1 電波伝搬公式
付録4.2 式(4.21)の導出
付録4.3 式(4.24)の導出
付録5.1 非線形回路における変調信号の歪み
付録5.2 周波数弁別におけるガウス雑音電力の期待値の導出
付録5.3 M系列発生回路
付録6.1 直交周波数分割多重方式(OFDM)
付録7.1 同期検波を適用した場合の最大比合成ダイパーシチの平均誤り率
付録7.2 近似確率密度関数を適用した場合の最大比合成ダイバーシチの平均誤り率
付録8.1 1/4波長線路
付録9.1 ポアソン到着率
引用・参考文献
索引