内容説明
古典を次の時代へと読み継いでいくためにはどうすればいいのか。古典文学研究・古典文学教育の危機にどのように立ち向かうべきかという、一人一人に突きつけられた問いに対してどう答えるのか。
新たな読者に向けて開いていくための、これからの古典の伝え方を、『男色大鑑』や江戸の文学作品を題材に、創作への欲望をかき立てるという視点から考えていく本。
『男色大鑑』のコミカライズからはじまった、あらたな現代語訳の登場、演劇化といったアダプテーションの展開は、作品研究にどのような実りをもたらすことになり、古典の伝え方のポイントとして何が浮上したのか。多方面から考え尽くす。
また、江戸の文学作品を題材に、現代の文化状況に引きつけつつ創作者の視点を探ることを試みたり、比較文学研究の手法を応用し古典文学へ誘う方法の実践例も収載するなど、古典文学の新たな開き方・伝え方を考えます。
これからどう古典を伝えていくか、ヒント満載の本です!
装画:紗久楽さわ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぺぺ
1
近世文学を専攻していたが、社会人になって触れることが無くなり、恋しくなり、久しぶりに古典に関連する本を読んだ。上手く言葉で表現できないことが悔しいが、とても面白く、興味深かった。学生時代の友人にも共有した。 学生時代からBLに関心があり、コミカライズされた『男色大鑑』もリアルタイムで購入していたが、本書を読んで初めて、出版の際の背景やその後の展開を知った。本書は、数年経って偶然手にした本なので、個人的には不思議な巡り合わせだと思う。 学生時代にこの現状を知っていたら、研究に関わっていたかった。2021/12/19