内容説明
フッサール、メルロ=ポンティ、ベルクソン、ミシェル・アンリといった二〇世紀を代表する哲学者たちは、「経験」という私たちの生にとって最も本質的な問題をどのように論じてきたのか。〈経験の起源の探求〉というテーマのもとに経験の構造から源泉、深層へと彼らの議論を辿り、その思想の独自性と類縁性とを浮き彫りにする!
目次
はしがき
I 経験の構造
第一章 理念性と経験――フッサール
1 理念的なものの主観的起源
2 経験のアプリオリ
3 経験の地平構造
4 生活世界のアプリオリ
5 歴史的アプリオリ
6 超越論的経験の源泉へ
第二章 身体的経験と理念性――メルロ=ポンティ
1 意味の経験
2 身体的綜合
3 習慣性としての身体
4 世界との根源的交流としての身体
5 表現と理念
6 理念と大地
第三章 生命と経験――ベルクソン
1 ベルクソンにおける経験
2 身体的習慣の論理
3 知覚の論理
4 論理と生命
5 論理の発生
6 生命のアプリオリ
II 経験の源泉
第四章 理念性と時間――フッサール、メルロ=ポンティ
1 経験的対象の時間形式
2 理念的対象の時間形式
3 理念性の時間的構成
第五章 世界とコギト――フッサール、ハイデガー、メルロ=ポンティ
1 主観性の自己構成
2 時間性と統覚
3 世界性と自己性の時間構造
第六章 人間的経験と時間――ベルクソン
1 非注意的再認と現在
2 過去と未来
3 注意的再認と時間
4 論理と時間
5 時間と生命
6 時間と純粋持続
III 経験の深層
第七章 原印象と生ける現在――フッサール、ヘルト
1 原印象への問い
2 原印象の可能性への問い
3 立ちとどまりつつ流れる現在
4 自己共同化
第八章 知覚の存在論――後期メルロ=ポンティ
1 経験の深層としての「野生の存在」
2 時間から存在へ
3 肉の存在論
4 主観性の深層
第九章 生命の存在論――ミシェル・アンリ
1 超越の可能性への問い
2 経験の深層としての「内在」
3 感情と自己
4 自己触発としての原印象
5 原-身体と生命の世界
6 生命の時間
第一〇章 時間の深層――ベルクソン
1 経験の深層としての直接与件
2 ベルクソン的還元
3 純粋な現在への還元
4 純粋持続への還元
5 直接与件の直観
6 自由と生命の時間
注
あとがき
文献一覧
索引