共通善の政治学 - コミュニティをめぐる政治思想

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共通善の政治学 - コミュニティをめぐる政治思想

  • 著者名:菊池理夫
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 勁草書房(2021/05発売)
  • ポイント 28pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326301997

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内容説明

西洋政治思想の伝統の中で常に語られながら、わが国の政治学ではほとんど議論されてこなかった「共通善」。その意味を正当に理解するために、思想史からひもとき、現代における意義、政治・地域福祉・環境政策への応用まで考察する。市場主義が終わりを迎え新たな価値形成を求める日本人に、今後の政治哲学の方向性を示す実践的研究書。

目次

まえがき──サンデルの「共通善の政治学」

第1章 共通善の政治学
 第1節 「共通善」という言葉
 第2節 現代のコミュニタリアニズムと「共通善」
 第3節 カトリックにおける「共通善」の伝統
 第4節 英米における「共通善」の伝統
 第5節 本章のまとめ

第2章 共通善の政策学
 第1節 わが国におけるラスウェルの評価
 第2節 ラスウェルの「共通善の政策科学」の展開
 第3節 ポスト実証主義としての政策科学の理論的・歴史的背景
 第4節 環境政策と「民主主義の政策科学」

第3章 コミュニティの思想史
 第1節 古代・中世の「コミュニティ」
 第2節 西欧近代の「コミュニティ」
 第3節 「コミュニティ」に関する現代の論争

第4章 コミュニタリアニズムと共和主義
 第1節 共和主義ルネサンスと現代コミュニタリアニズム
 第2節 共和主義をめぐるリベラル・コミュニタリアン論争

第5章 ソーシャル・キャピタルとしての地域コミュニティ
 第1節 日本の自治的コミュニティの評価
 第2節 「地域主義」の興隆とゆくえ
 第3節 ソーシャル・キャピタルとしてのコミュニティ

第6章 コミュニタリアニズムの政策と共通善
 第1節 現代コミュニタリアニズムに対するさまざまな誤解
 第2節 コモンズとしてのコミュニティの環境政策
 第3節 コミュニティの連帯のためのベーシック・インカム

補論 書評:マイケル・サンデル著/鬼澤忍訳『これからの「正義」の話をしよう──いまを生き延びるための哲学』

あとがき
参考文献
事項索引
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

4
「戦後の日本の社会科学では、村落共同体のような伝統的な「共同体」は、近代化のなかで解体されるのは当然である、むしろその方が進歩であり、望ましいという主張が強かったと思われる。政治学や行政学においても、伝統的な村落共同体は、閉鎖的で、権威主義なものであるとして批判され、特に第二のムラとして語られる町内会・自治会も…個人の権利や自由を束縛するものとして批判されることが多かった。…英米では一般的にコミュニティは、現代においても必要なものであり、それが消滅していくことは政治的・社会的にも損失であると思われている」2022/07/17

ひつまぶし

2
ようやく面白かった。コミュニタリアニズムの核心に共通善というキーワードを据えて、思想的な背景から現代的な意義まで広くまとめている。共通善とは、ほとんど認めるか認めないかの問題で、その上で「望ましい共通善とはどのようなものか」そして「どうすればそれを構築できるか」が常に課題としてつきまとう。ゆえにコミュニタリアンはプラグマティストでもあるのだろう。日本の地域主義に関する議論も興味深かったが、どこかで排除的な要素は引っかかる。もっともこれは、日本社会の特性はあっても、日本に固有の問題でないことも理解できる。2024/12/20

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