内容説明
過去のあの出来事は「運命」だったのだ。未来に起こることは「運命」として定まっているのだ。あるときには意味現象であり、あるときには因果的決定だと見なされる「運命」。本書は、論理や形而上の問題として運命論を捉える試みである。「無関係」からも関係がなく、「現にある」ようにあるしかないもの、それこそ語られるべきものだ。
目次
まえがき
序 章 時間と相対主義
第一章 非時間的な時間――第三の〈今〉
一 同時性としての〈今〉
二 動く〈今〉
三 A系列/B系列、そして第三の〈今〉へ
四 「同時性としての〈今〉」から失われているもの
五 「動く〈今〉」の誤解
六 時間の要(かなめ)
第二章 「未来はない」とはどのようなことか
一 はじめに
二 過去化した未来
三 無としての未来
四 欠如としての未来
五 欠如でさえない未来
六 「欠如でさえない未来」の再―過去化と再―欠如化
七 「無」でさえない未来
第三章 過去の過去性
一 はじめに
二 ラッセルの「五分前世界創造説」
三 勝守真の「想起逸脱過去説」
四 「想起逸脱過去」のさらにかなた――想起阻却過去
五 再び「五分前世界創造説」へ
六 重層性と受動相
第四章 時間と矛盾――マクタガートの「矛盾」を書き換える
一 「時間と矛盾」という問題
二 マクタガートの証明と本章の論点
三 A系列とB系列は、二つの別個の系列か
四 時間系列外のXは、どのように働くか
五 時間特有の変化は、どのように特異か
六 矛盾は、どこに見いだされるべきか
第五章 時間の推移と記述の固定――マクタガートの「矛盾」に対する第一の書き換え
一 はじめに
二 「なる(時間の推移)」の時制逸脱性
三 「矛盾(両立不可能かつ両立可能)」の実相
四 「時間の流れ」に含まれるマクタガート的な「矛盾」
五 「矛盾」の回帰と全面化
六 「逃去性」と「理解済み」
第六章 相対主義と時間差と無関係
一 相対主義は自己矛盾には陥らない
二 相対主義は複数的な平等主義ではない
三 相対主義と時間差
四 夢の懐疑と時間差
五 無関係と関係との無関係、あるいは「飛び越されてしまった実在」
第七章 「寛容/不寛容の悪循環」とそれからの「脱出の方途」について
一 はじめに
二 寛容をめぐる「循環のアポリア」
三 「循環のアポリア」の検討
四 「脱出の方途」、そして「収斂」について
五 おわりに
第八章 プロタゴラス説のあるべき姿
一 はじめに
二 人間尺度説は「各人の現れ=各人の真理」説か
三 中間項としての「現れ」
四 「現れ」と「真理」
五 「現れ」から「各自性」へ
六 「各自性」以後
七 「私たち」が召喚される
八 「私たち」の相対化
第九章 運命論から何を読み取るべきか
一 はじめに
二 論理的な運命論(I)
三 論理的な運命論(II)
四 形而上学的な運命論
註
あとがき
事項索引
人名索引
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