一にして多のヨーロッパ - 統合のゆくえを問う

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一にして多のヨーロッパ - 統合のゆくえを問う

  • 著者名:宮島喬
  • 価格 ¥3,520(本体¥3,200)
  • 勁草書房(2021/05発売)
  • ポイント 32pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326653560

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内容説明

ヨーロッパの発展を可能にした非ヨーロッパからの移民労働者。EU加盟国民の平等が進む一方で、非加盟国移民の移動、就労の自由、政治的権利などはいまだ十分ではなく、文化的・社会的統合も不完全なままである。人権や市民権の観点から彼らをできる限り平等なメンバーとして統合するにはどうしたらよいのか。過去に鑑み未来を探る。

目次

はしがき

序 ヨーロッパ統合、移民の社会的統合――内なる統合から外へ
 1.統合の意味を問う
 2.移住者の定住と人権レジームの成立、変容
 3.グローバル化と統合政策の変容
 4.ヨーロッパの試練

第1章 「国境なきヨーロッパ」の模索――覚書・戦後期一〇年の軌跡
 1.復讐、疑惑、ナショナリズム
 2.リーダーたち
 3.仏独和解と資源の「共同化」――リアルポリティックスと理想主義の間
 4.ドイツの問題とフランス
 5.小国のリーダーシップ、多国間主義へのかじ取り
 6.統合主義へ
 7.人の移動の自由をめぐって

第2章 ザールの「ヨーロッパ的解決」とその挫折
 1.戦後ヨーロッパとテリトリー問題
 2.フランスにとってのザール
 3.ヨーロッパ評議会の関与の意味
 4.「ヨーロッパ的解決」
 5.住民投票の結果の意味するもの
 6.試みの挫折とザールの実験の意味
 7.ザール問題の教訓

第3章 トランスナショナル市民権の可能性――EU市民権の現状、逆説、展望
 1.「EU市民権」の制定
 2.なぜEU市民権なのか――いくつかのコンテクスト
 3.「民主主義の赤字」批判
 4.国籍に従属する(?)トランスナショナル市民権
 5.義務なき市民権?
 6.境界づけと公正――域内・域外の固定化
 7.開かれなかった「自由移動・自由居住」の権利――二〇〇四年の時点で
 8.居住原理にどこまで開かれるか

第4章 移民と家族の再結合――国際移動者の人権の担保
 1.マイグレーションと家族
 2.家族再結合の道を開く
 3.単身の労働力移動とその帰結
 4.家族生活の権利の擁護――アソシアシオンの働きかけ
 5.呼び寄せの条件と代償
 6.家族再結合の困難
 7.逆風のなかで

第5章 ポストコロニアル移民の過去と現在――アルジェリア、アルジェリア移民とフランス
 1.ポストコロニアル・アルジェリア
 2.市民権の普遍主義と現実の落差
 3.「文明化」と原住民
 4.市民の序列化
 5.ピエ・ノワールの世界とムスリム
 6.フランスへの「貢献」と差別の維持
 7.戦後の受け入れにおけるアルジェリア人の位置
 8.「心の壁」を超えられるか

第6章 ドイツの国籍法の改革とヨーロッパ
 1.ヨーロッパのなかのドイツ
 2.「移民送出国」の制度とアイデンティティ
 3.「移民対応型」への移行?
 4.帰化制度の容易化、透明化へ
 5.第二世代と権利帰化、しかしそれがゴールか
 6.新国籍法の成立
 7.「ヨーロッパ・スタンダード」からみて

第7章 グローバリゼーションと「開放」「選別」――移民社会フランスのゆくえとヨーロッパ
 1.移民に開かれた? 政権
 2.移民国フランスの現在
 3.新たな受け入れと統合政策の見直しと
 4.選別なき移民政策だったか
 5.「押しつけられた移民」の二カテゴリー
 6.「統合」の名による同化、不平等な差異化
 7.EU諸国の゛共同歩調
 8.第二世代の生き方と統合

第8章 人の移動におけるヨーロッパとアジア世界――人権レジームからの比較と問い
 1.受け入れから統合へ――西欧の移民政策の重点
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メルセ・ひすい

1
14-48赤51 3K!=移民ここではEUその複眼的政策の推移…いま混迷し、平等、シティズンシップ、共生は?…議論と考察の書 (*_*) 移民政策の長期的展望の先に見えてくるものとは。。そこからアジアの移民はどうなんの? なんのための経済成長?なんのための国政…じゃあ…国境って なんなの…メルセ ここでは、これはありません。でもでも読書メーター諸君は熟考を! そうです人の世界制覇はアフリカ発で 国境…からミクロは家の境界線 なんの意味があるの それは甚だ基督式ゲットーなの?ヾ(。`Д´。)ノ国境とは?2011/01/16

koji

0
社会科学研究者のヨーロッパ移民論。第二次大戦後から現代まで丁寧に歴史を追いアジアまで目配りされて、骨太のコミュニティ論に仕上がっています。戦後「超ヨーロッパ」を推し進めたジャンモネ、ロベールシューマン、ポールアンリスパーク、コンラートアデナウア、アルチデデガスペリ等がマージナルマンとしての境遇を持っていたこと、サルコジがハンガリーからの移民第二世代でありながら、グローバリゼーションの中で経済に有用な移民のみ認める方向に動いていること等示唆的な文章に仕上がっています。2011/03/21

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