ラッセルの哲学 [1903-1918] - センスデータ論の破壊と再生

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ラッセルの哲学 [1903-1918] - センスデータ論の破壊と再生

  • 著者名:高村夏輝
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  • 勁草書房(2021/05発売)
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  • ISBN:9784326102242

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内容説明

ラッセルが20世紀初期に論じたセンスデータ論は、本当に命運が尽きたのか。その議論に精緻な深みを読みとった著者が、既存の解釈を徹底的に破壊し、新たな視点から一貫した体系の提示を試みる。さらに著者自身の議論によって新たな概念を導入し、センスデータ論をひとつの世界像として完成させる、渾身の作品。

目次

まえがき

I 論理的原子論―「ないもの」と実在

第1章 前史―『数学の諸原理』の存在論
 1.1 関係の実在性をめぐる論争
 1.2 『数学の諸原理』の意味論と存在論
 1.3 『数学の諸原理』の存在論の問題点

第2章 「不完全記号」の学説
 2.1 記述理論
 2.2 無クラス理論とタイプ理論
 2.3 多項関係理論
 2.4 『外界の知識』以降の不完全記号の学説
 2.5 「不完全記号」概念にまつわる注意点

第3章 論理的原子論の体系
 3.1 実在の秩序
 3.2 「ないもの」の秩序とその構成
 3.3 不完全記号の学説と哲学の意味

II 哲学的方法論としての「分析の方法」

第4章 基礎づけ主義的解釈とその批判
 4.1 基礎づけ主義的解釈
 4.2 基礎づけ主義的解釈の認識論的困難
 4.3 意味論的還元主義としてのセンスデータ論とその批判
 4.4 基礎づけ主義的解釈とテキストとの食い違い
 4.5 基礎づけ主義的解釈による言語論に対する疑問

第5章 「分析の方法」と認識論的批判への応答
 5.1 「分析の方法」とは何か
 5.2 外界問題と「分析の方法」
 5.3 「論理的に完全な言語」とは何か
 5.4 センスデータ論に対する認識論的批判への応答

第6章 感覚・知覚・思考の理論
 6.1 「分析の方法」をめぐる困難
 6.2 面識概念と多項関係理論の再考
 6.3 感覚と知覚の理論
 6.4 概念的思考の形成と不完全記号の学説
 6.5 言語・意味に関わる批判への応答

III 外界問題と二つのセンスデータ論

第7章 代表象的センスデータ論
 7.1 「相反する現れ」という問題
 7.2 代表象説的解決
 7.3 「物質について」と代表象説の困難
 7.4 「新しい代表象説」の可能性

第8章 構成的センスデータ論
 8.1 解決されるべき二つの問題
 8.2 日常的事物の構成
 8.3 物理的対象の論理的構成
 8.4 二つの構成の関係
 8.5 知覚の因果説との対決
 8.6 構成的センスデータ論とコミュニケーションの理論

結語
参考文献
あとがき
事項索引
人名索引






著者略歴
1972年、大阪生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。自由学園、松蔭大学ほか非常勤講師。
訳書に『論理的原子論の哲学』(バートランド・ラッセル著、2007年、ちくま学芸文庫)、『哲学入門』(バートランド・ラッセル著、2005年、ちくま学芸文庫)、『ここからはじまる倫理』(アンソニー・ウエストン著、野矢茂樹・法野谷俊哉との共訳、2004年、春秋社)。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buuupuuu

18
『哲学入門』や『論理的原子論』の頃のラッセルの解釈を通じてセンスデータ論を復権させようとする試み。センスデータ論が現在不人気なのはそれが基礎づけ主義の文脈で捉えられているからである。著者によればラッセルが応答しようとしたのは懐疑論ではなく「相反する現れ」の問題だという。センスデータ論は信念体系を整合的にするための仮説である。この点でそれは他の現代的な知覚論よりも秀でているという。面識の対象が仮説的に立てられるのは奇妙だが著者はサブパーソナル・レベルという考えや不完全記号の説によってその印象を和らげている。2024/03/15

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