内容説明
19世紀以降の「絵画の自律化」は、フォルムと色彩が代用されえない固有の媒体であることを主張しはじめた。また、写真に発する映像表現は多様化し、我々の経験に深く浸透している。今や、書物の時代にかわり<イコン的なもの>を中核とする新しい文化の時代が到来している。絵画の自律化はこの転換の契機だった。今やフォルムと色彩からなる形象世界を外から規定するものはない。画家は制作を通して「形象とは何か」という問いをたて、自ら答えねばならず、我々もその問いと答えの弁証法を、観照を通して解釈しなければならない。なぜ「絵の具とカンヴァス」が単なる物質を越えて「意味」を孕むことができるのか?作品を例にその固有の論理を探る。
目次
第一部 眼と形象
第一章 芸術経験からの問い
一 内容主義の限界と形式主義の限界
ニ 経験というパラダイム──形象の経験としての絵画経験
第二章 形象形成の論理──眼のロゴスに向けて
一 フィードラーの「眼の能動性」
ニ 制作の論理から観照の論理へ
三 覚醒した眼
第二部 意味への飛翔
第一章 形象の二律背反
一 模像と歪み──ミーメーシス芸術における形象
ニ 形象の自己否定
第二章 形象への解釈学的アプローチ
一 意味の余剰
ニ 非-言語の媒体の解釈学
第三章 形象の対象性とその構造──物質と意味
一 絵画の層構造──意味を支えるもの
ニ 形象の構造──層構造を越えて
第三部 形象・時間・言語
第一章 イコニークの実践
一 テクストからコンポジションへ──表現の必然性
ニ イコノロギーとイコニーク/構造分析とイコニーク
三 「再認する視覚」と「視る視覚」
第二章 視ること・読むこと・語ること
一 形象の時間性
ニ 形象とその記述
結び
註
あとがき
参考文献一覧
図版一覧
事項索引
人名索引
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