共感の技法 - 福島県における足湯ボランティアの会話分析

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共感の技法 - 福島県における足湯ボランティアの会話分析

  • ISBN:9784326602551

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内容説明

津波の被害や避難生活、困難な経験にボランティアはどのように共感をあらわすのか。いくつかの震災をへて、足湯ボランティアがますます活用されるのはなぜか。その方法と理由を会話分析から明らかにする。

目次

はしがき
事例の引用で用いられている記号

序章  足湯活動の相互行為分析[西阪仰・須永将史]

第1章 二つで一つ――複合活動としての足湯活動[西阪仰]

第2章 マッサージの手順が違反されるとき[須永将史]

第3章 視線のゆくえ[西阪仰]

第4章 話題の展開――足湯利用者はどのようにして自分から語り始めるか[西阪仰]

第5章 態度のすりあわせ――「共感」はどのように形成されるか[早野薫]

第6章 避難期間の表わし方から読みとれること[早野薫]

第7章 飛び越えの技法――「でも」とともに導入される共感的反応[西阪仰]

第8章 経験の固有性を認める共感[黒嶋智美]

第9章 共通性を示すこと――共感の権利はどのように主張されるのか[岩田夏穂]

第10章 段階をへる共感[黒嶋智美]

第11章 不満・批判・愚痴を述べるということ[早野薫]

終章  できなかったこと,そしてできたこと[西阪仰]

あとがき
本文のなかで言及した文献一覧
人名・事項索引



著者紹介

西阪仰(にしざかあおぐ)
現在,明治学院大学社会学部教員.文学博士.専攻は,エスノメソドロジーおよび会話分析.
ここ10 年ほどは,いわゆる「産科医療」における妊婦と保健医療専門家(医師や助産師)の相互行為を研究してきた.
著書:『相互行為分析という視点』(金子書房,1997年),『心と行為』(岩波書店,2001年),『分散する身体』(勁草書房,2008年)ほか.
論文:Self-initiated problem presentation in prenatal checkups (Research on Language and Social Interaction, 2010),
The embodied organization of a real-time fetus (Social Studies of Science, 2011),
Response expansion as a practice for raising a concern during regular prenatal checkups (Communication & Medicine, 2011) ほか.
訳書:ジェフ・クルター『心の社会的構成』(新曜社,1998年),ハーヴィ・サックス他『会話分析基本論集』(世界思想社,2010年)ほか.

早野薫(はやのかおる)
現在,お茶の水女子大学外国語教育センター教員.Ph.D.(語学).専攻は,会話分析,言語学.
とくに,会話における知識の領域について,研究に取り組んできた.
論文:Claiming epistemic primacy (The morality of knowledge in conversation, 2011),
Question design (Handbook of conversation analysis, 2012) ほか.

須永将史(すながまさふみ)
現在,首都大学東京人文科学研究科社会学教室博士後期課程.専攻は,会話分析,ジェンダー論.
ジェンダー論の観点から,コミュニケーションと身体の関係について研究している.
論文:「『ジェンダー・トラブル』の〈ジェンダー〉と「身体なるもの」」(『社会学評論』,2013年).

黒嶋智美(くろしまさとみ)
現在,明治学院大学社会学部付属研究所研究員.Ph.D.(応用言語学).専攻は,会話分析.
救命救急や病理診断での指導医と研修医や,寿司屋の客と板前の相互行為などを分析している.
論文:Another look at the service encounter: Progressivity, intersubjectivity,
and trust in a Japanese sushi restaurant (Journal of Pragmatics, 2010)ほか.

岩田夏穂(いわたなつほ)
現在,大月市立大月短期大学教員,人文科学博士.専攻は,日本語教育,会話分析.
特に日本語非母語話者を交えた会話の参加の組織化に関心がある.
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白いハエ

1
被災者のトラウマ的体験がどのように語られ、足湯ボランティアがどうやってし受け止め、共感を行うか、その技法が精緻に分析されている。足湯と手のマッサージというリラックスした基底的な状況と、好意的な他者であるボランティアという関係性は、変わってしまいながらも日常的であり続ける生活の中の、心の避難場所として機能する。原発事故という非常事態のために、ある意味で極端な例ではあるものの、安易な共感を謳うものよりもずっと深い、コミュニケーションの機微としてひとつの資料となりえる。2022/05/04

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