「豹変する心」の現象学 - 精神科臨床の現場から

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「豹変する心」の現象学 - 精神科臨床の現場から

  • 著者名:大饗広之
  • 価格 ¥2,860(本体¥2,600)
  • 勁草書房(2021/05発売)
  • ポイント 26pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326298952

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内容説明

統合失調症やアスペルガーは特殊で危険な病態なのか。日常の些細な出来事がトラウマ化するケースが増えたのはなぜなのか。ふつうと異常の境目が揺らぎ始めたことによって、「私」という物語の一貫性が失われつつあることを指摘しつつ、「心の科学」という言葉では扱いきれない側面を、実際の「豹変」症例に触れながら解説する。

目次

はしがき

第一章 心、このみえないもの
 1 若者たちの風景
 2 心、そして/あるいは「私」

第二章 豹変する心
 1 恐るべき事件
 2 ふつうと異常のあいだ
 3 疾患は犯行を説明しない
 4 それは予兆かもしれない

第三章 カオスの反転模様
 1 三つの体験領域
 2 アソビからカオスへ
 3 反転としてのカオス
 4 カオスの極北、裏返された世界
 5 カオスはすぐそこにある

第四章 「内なる他者」の反乱
 1 「豹変する心」に悩む人たち
 2 手がかりとしての「解離」
 3 理念型としての「ジキルとハイド」
 4 現代のジキルたち
 5 解離は危険なメカニズムなのか?
 6 「物語の屈曲」から「人格の解離」へ
 7 フライングする解離

第五章 精神科のカルテより
 1 「臨床等価例」の多様性
 2 代表症例
 補遺 攻撃に向かう要因──一般青年の調査から

第六章 時代背景と精神疾患
 1 理論によるバイアス
 2 三つの体験領域と精神疾患
 3 変容する疾患図式
 4 秩序の崩壊と反転のはじまり

第七章 疾患概念を再考する
 1 アノレキシア──垂直方向への上昇
 2 PTSD──水平方向へのスライド
 3 人格の解離──多元化する主体
 4 アスペルガー──中心の喪失
 5 現実感喪失──希薄化したリアリティー

第八章 自明性なき時代
 1 「中心の喪失」から「世界の多元化」へ
 2 「物語の解体」から「自己の多元化」へ
 3 「正しさ」への懐疑

第九章 科学主義という幻想
 1 科学的思考の罠
 2 アスペルガーのような世界

終 章 「心の豹変」から「漂流する心」へ

あとがき
索 引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ポカホンタス

6
<中心の喪失>がテーマであるようなので読んでみた。解離やアスペルガーが増えてきたのは、時代的な<中心の喪失>の現れであり、現代は「中心という秩序が失われている」という指摘。著者は<中心という大きな物語>の喪失を嘆く側に立場を取る。論の立て方も大がかり。その立場では、多元的で<小さな物語>が乱立する世界をうまく掬いとれないのではないか。2011/01/09

ぽんぽこ

3
読みやすいのに難解で読むのに時間がかかりました。普通の人に見えても中身まで普通の人とは限らない。アスペルガー=犯罪者なんてことは関係があるとは分からない。というより心の病は客観的に数値化できるものではない。じゃあ将来は数値化できるようになるのか?そもそも相手の心の存在を証明できるのか?と読めば読むほど坩堝にハマって頭がめっちゃくちゃになってしまいました。2025/04/13

けけけ

0
心について語れるのは当人だけ、ってのに集約されるのかなぁ。都合の良い病名で無理矢理括ってきたこれまでがおかしいのかもしれない。実例を交えつつ、わからないものを丁寧に読み取ろうとする感じで中々面白かった。2011/05/08

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