科学思想史

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科学思想史

  • 著者名:金森修
  • 価格 ¥7,260(本体¥6,600)
  • 勁草書房(2021/05発売)
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  • ISBN:9784326101993

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内容説明

科学技術が早急に対応すべき社会問題となった現在、科学思想史は〈科学政治学〉へ変貌しつつある。しかし、科学技術を社会がどう捉えるかは経済・文化・思想が輻輳する多層的な問題であり、科学思想史家がなすべきなのは、個々の研究を通じその輻輳した問題構制を明らかすることである。科学思想史の現代的可能性を改めて問う一書。

目次

第1章 〈科学思想史〉の哲学 [金森修]
 1 〈科学思想史〉の揺動と拡散
 2 〈嚮導科学史〉と〈他性の科学史〉

第2章 発生生物学の黎明─ヴィルヘルム・ルー試論[佐藤恵子]
 1 はじめに
 2 ルー以前の発生理論の展開
 3 思想的土壌としての形態学
 4 自然選択の原理の射程
 5 発生機構学
 6 発生機構学の行方

第3章 数学と社会改革のユートピア─ビュフォンの道徳算術からコンドルセの社会数学まで[隠岐さや香]
 1 一八世紀の人間/社会科学と数学の応用
 2 ダランベールの数学観とビュフォンの道徳算術
 3 コンドルセの社会数学と認識論的調停─統治のための科学へ
 4 おわりに

第4章 啓蒙と迷妄─『百科全書』の科学項目に見る〈誤謬理論〉の歴史[井田尚]
 1 はじめに
 2 「体系」の精神と「方法」の精神
 3 『百科全書』の歴史叙述
 4 言語に起因する誤謬
 5 科学論争と誤謬の相対性─炎症の解釈をめぐる機械論と生気論の競合
 6 迷信が生んだ科学的誤謬─賢者の石と回春の神話
 7 科学における支配的誤謬─医学と感応力(Influence)の理論
 8 誤謬から真理へ─項目「種痘」と種痘をめぐる論争
 9 科学から文学へ─『ダランベールの夢』と「生ける」メタファー
 10 おわりに

第5章 ロバート・ボイルの化学─元素・原質と化学的粒子[吉本秀之]
 1 はじめに
 2 ボイルとは誰か?
 3 元素概念の〈系譜学〉
 4 ボイルの化学的世界
 5 ボイル化学の射程
 6 おわりに

第6章 デカルト派生理学と図像表象[本間栄男]
 1 デカルト
 2 ルネサンス生理学
 3 ファン・ホーフランドゥ
 4 レギウス
 5 二つのデカルト『人間論』
 6 クラーネン
 7 おわりに

第7章 中世における占星術批判の系譜[山内志朗]
 1 はじめに
 2 知としての占星術 
 3 占星術批判の基本的枠組み
 4 アラビアにおける占星術
 5 トマス・アクィナスの占星術論
 6 ニコル・オレームの占星術批判
 7 おわりに

第8章 ギリシア医学における批判と論争[今井正浩]
 1 はじめに
 2 医学の存在根拠を問う─『技術論』の議論の射程
 3 原因概念としての「自然」─『神聖病論』と『環境医学論』
 4 人間の探究─ヒポクラテスの医学と同時代の哲学
 5 結びにかえて─論争史という視点からのギリシア医学への接近

あとがき[金森修]

事項索引
人名索引
執筆者紹介