内容説明
法の解釈は誰がやっても同じになるのか。法は客観的に存在するものか、それとも、われわれの行為によって作られるものか。法律家の果たすべき役割とは何だろうか。後期ウィトゲンシュタインを中心とした言語哲学の成果を手がかりにして、規則にしたがうこと、意昧を知ること、解釈することなどの行為の性質を検討し、法解釈をいかに理解すべきか、根本的に考える。法解釈とは正解を見つけ出す作業などではない。法的現実という人工物を作り出し、不可能を可能にしていくわれわれの行為にほかならない。
目次
第1章 「法解釈」とは何か
1.1 問題の所在
1.2 法的判断モデル
1.3 法的判断モデルへの批判
1.4 法的判断の定位
第2章 「解釈」とは何か
2.1 解釈の規約主義モデル
2.2 意味は解釈により示される:ドゥウォーキンとフィッシュ
第3章 「解釈」と実践の探求
3.1 クリプキの「懐疑的パラドックス」
3.2 意味は実践のなかに示される:パターソンとヤブロン
3.3 懐疑的解決の問題点
3.4 「懐疑的パラドックス」と法理論
3.5 正当化の理論
第4章 規範物語りと意味
4.1 二つの懐疑論
4.2 根元的規約主義
4.3 正当性に関するデカルト的地平
4.4 意味の制作理論
第5章 解釈と法
5.1 補足と展望
5.2 運動としての法に向けて
おわりに
参考文献
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わんぱら
2
大屋雄裕の処女作。根元的規約主義によって、文言などの規則から正当性を担保しようとする試みを全て破壊した。 このたび再読してみると、根源的規約主義の提案から適用、その結果の分析にいたるまでは、やはり鮮やかでその意義は全く色褪せてない。他方で、主に前半部分、他の著者の見解を批判する際には、少々強引な解釈や位置付けが目立つ。ただ、それらの論者の精密な読解を目指した本ではないので、モデルに対する批判としてなら読めなくもない。 いずれにせよ、根源的規約主義の擁護自体は非常に重要かつ説得的なので、幅広く読まれるべき。2017/07/29
check mate
2
野矢茂樹先生の議論がこういうかたちで法学と結び付くの、なんだか嬉しい。2016/03/11
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