内容説明
生命のメカニズムの解明によって、医療や環境問題に寄与することが期待されているライフサイエンス。日々新たな政策によって研究の進展に伴う倫理的・法的・社会的問題の解決を講じることが行政の役割となっている。iPS細胞の振興から脳科学・ヒトゲノムにまつわる倫理的課題、技術の社会還元まで、現場から政策の現状を展望する。
目次
はしがき
I iPS細胞への期待と社会
第一章 支援体制はどう構築されたか:ヒトiPS細胞の樹立から
1 山中教授との意見交換
2 iPS細胞の意義と社会からの注目
3 総合戦略の策定
4 ネットワークの形成
5 iPS細胞研究に関する倫理的課題と安全性の検討
第二章 国際競争と産業化への課題
1 国際シンポジウムの開催
2 米国の動向
3 産業化に向けて
4 特許権の確保と活用
5 再生医療の可能性
6 iPS細胞研究ロードマップ
7 学ぶべきこと
II 最先端のライフサイエンスと生命倫理
第三章 脳科学と脳神経倫理学
1 ライフサイエンスの新展開と生命倫理
2 脳科学に関する政策
3 脳科学の進展と社会貢献
4 脳神経倫理学
第四章 ヒトゲノムとヒト胚をめぐる課題
1 ヒトゲノム研究に関する倫理指針の策定
2 ヒトゲノムにまつわる最近の倫理的課題
3 ヒトES細胞に関する倫理指針
4 ヒト胚にまつわる倫理的課題
第五章 生命倫理の基本原則の確立は可能か?
1 生命倫理に関する国連機関における検討
2 ユネスコが作成した生命倫理に関する宣言
3 生命倫理と人権に関する世界宣言
4 教育と人材の育成
5 普遍的な生命倫理の可能性
III 研究成果の社会への還元
第六章 ライフサイエンスと社会経済
1 基礎研究と医療技術
2 各国のライフサイエンス政策・医療政策の比較
第七章 医薬品の研究開発と基礎研究・臨床研究
1 医薬品の開発
2 臨床研究の推進
3 様々な分野の連携
4 研究基盤の重要性
5 基礎研究の重要性
IV ライフサイエンス・コミュニケーション
第八章 研究上の不正行為と科学への信頼
1 続発する不正行為とその背景
2 日本学術会議の対応
3 科学者の対応
第九章 ライフサイエンスと社会との関係
1 社会の中の科学と社会のための科学
2 日本における科学と社会
3 シビリアン・コントロール?
4 合意形成に向けて
5 科学コミュニケーションの意義
6 科学コミュニケーションの実際
7 ライフサイエンスと社会をつなぐ人材
8 おわりに
あとがき
人名索引
事項索引