「男らしさ」の快楽 - ポピュラー文化からみたその実態

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「男らしさ」の快楽 - ポピュラー文化からみたその実態

  • 著者名:宮台真司/辻泉/岡井崇之
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 勁草書房(2021/05発売)
  • ポイント 28pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326653478

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内容説明

ファッション、格闘技、ラグビー、ホストクラブ、性風俗、オーディオマニア、鉄道ファン、ロック音楽などの事例を取り上げ、楽しさの実態を内在的かつ詳細に記述しながら、「男らしさ」をとらえ直す。従来、家庭や労働における性別役割分業論を中心に否定しつくされてきた「男らしさ」に、肯定面をも含み込んだ現実的な方途を探る。

目次

まえがき

第I部 「男らしさ」のとらえ方

第一章 「男らしさ」への三次元アプローチ──楽しい「男らしさ」の社会学へ[辻泉]
 1 楽しい「男らしさ」の社会学へ
 2 「男らしさ」への三次元アプローチ
 3 本書の構成

第二章 「男らしさ」はどうとらえられてきたのか──「脱鎧論」を超えて[岡井崇之]
 1 なぜ、それでも「男らしく」ありたいのか
 2 マスキュリニティ研究が提起するもの
 3 日本のポピュラー文化研究と「男性性」
 4 快楽の内在的な探究へ

第II部 自己=身体性──男たちの自己鍛錬

第三章 部族化するおしゃれな男たち──女性的な語彙と「男らしさ」の担保[谷本奈穂・西山哲郎]
 1 「男らしさ」とおしゃれの微妙な距離
 2 男性の灰色化
 3 おしゃれな男
 4 同質社会性──小集団化するジェンダー意識

第四章 男たちはなぜ闘うのか──格闘技競技者にみる「男らしさ」の現在[岡井崇之」
 1 なぜ、格闘技なのか
 2 スポーツ・ジェンダー論再考
 3 総合格闘技道場という空間
 4 格闘技競技者のライフヒストリー
 5 後景化する「男らしさ」

第III部 集団=関係性──男たちの対人コミュニケーション

第五章 一人ぼっちでラグビーを──グローバル化とラグビー文化の実践[河津孝宏]
 1 グローバル化とスポーツ文化、そして男性性
 2 日本ラグビーの熱狂と停滞
 3 ラグビーをプレーする──ローカルな共同性の実践
 4 ラグビーを観る──共同性からの離脱と競技性の消費
 5 排他性と優越性なき「男」

第六章 「男らしさ」の装着──ホストクラブにおけるジェンダー・ディスプレイ[木島由晶]
 1 〈男〉を演じる
 2 上演舞台としてのホストクラブ
 3 ホストクラブのジェンダー・パフォーマンス
 4 「男らしさ」のコーディネイト

第七章 「エッチごっこ」に向かう男たち──性風俗利用における「対人感度」[多田良子]
 1 性風俗利用者への着目
 2 「マッチョ」な利用男性というイメージ
 3 性風俗サービスの利用状況
 4 利用における「対人感度」
 5 「対人感度」の行方

第IV部 社会=超越性──男たちのロマン

第八章 オーディオマニアと〈ものづくりの快楽〉──男性/技術/趣味をめぐる経験の諸相[溝尻真也]
 1 「男の趣味」としてのオーディオ
 2 オーディオ自作とその生成
 3 オーディオ趣味の快楽と困難──オーディオ自作者への聞き取り調査から
 4 オーディオ趣味は本当に「男の趣味」なのか?──趣味とジェンダーをめぐる関係の再考へ

第九章 なぜ鉄道は「男のロマン」になったのか──「少年の理想主義」の行方[辻泉]
 1 現実離れした「男のロマン」
 2 「男のロマン」とは何か
 3 なぜ鉄道は「男のロマン」になったのか
 4 「男のロマン」はどこへ向かうのか

第十章 ロック音楽の超越性と男性性──ピエール・ブルデューの相同性理論を基に[南田勝也]
 1 ロックと男性性
 2 超越性と男性性
 3 ロックと超越性
 4 男性性と女性性

終 章 「自分らしさ」から、とりあえずの「男らしさ」へ──ポピュラー文化からみた「男らしさ」の行方[宮台真司・辻泉]
 1 「男らしさ」の実態
 2 「男らしさ」に、今何が必要か

ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ザカマン

8
なぜ男性オーディオや鉄道にハマ利やすいのかが興味深かった。 しかし、最近の若者の話ではないので全体的に話が古い2019/03/16

NICK

5
ジェンダーとかフェミニズムにおいて「男らしさ」というのは女性を抑圧するものであって、ロゴス中心主義とも接続される「解体されるべきもの」だ! という印象があったのだが、ここで論じられているのはむしろ「男らしさ」の画一さではなく多様さである。このような「男性学」について初めて読んだのだが、「男らしさ」が社会的な意味を持ったロールモデルとして機能しづらくなった現代においては、衣のように着替えうるものとしての男らしさであるとか、共同体に仲間である限り引き受ける優越性なき男らしさというのはなかなか卓見だと思った2012/10/09

noko

3
ファッション、格闘技、音楽、ホスト、鉄道などポピュラー文化からみた、男らしさ。オシャレをする男はファッション文化の中の1小党派と見られるようになったのは、19世紀以降の近代の慣習。近代以前は男女外見を飾る、或いは男性の方が着飾る時代も。テイラードスーツの登場で、男性は目立たない地味な服を着る道ができた。服が華美か質素かは性差で無く、身分の差に左右されてきた。日本でも公家は白粉と紅を男もさす。大名旗本は錦を含んでいた。一方庶民はたとえ裕福でも華美だと戒められ禁令も出た。日本ではスーツがユニフォーム化した。2023/07/11

Kaori Kurusu

2
ジェンダーが問題になってきている昨今、いわゆる「男らしさ」とは何かということを、問い直すべき時がきている。「男らしさ」には問題も多く、特に性の不平等を作り出してきたのは、ここにも大きな要因があると考えられている。 本書の特徴は、これまでは、「男らしさ」に対してはフェミニズム、男性学を中心に批判の対象となってきたが、一方的に批判するだけでなくその肯定的な側面も捉え直している点である。 2018/04/15

xxx

1
「男らしさ」について肯定的に捉え直す本。昨今の、フェミニズム的見地から「男らしさ」を有害なものとして捉える本と違い「男らしさは楽しいもの」という出発点から始まっているのが面白い。(男叩きに終始する論はうんざりなので) 特にロック音楽に関する論は読みごたえがあった。ロック文化の「ジェンダーを越境する=男らしさ」という考えは逆説的に見えるが、ならばその男らしさは女性も持つことができるのである。今日の女性メタル歌手のように。男らしさのすべてを無理に捨て去る必要はなく女だって手にしても良いのだ。

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