内容説明
医療技術の発展は、特に1970年代以降、急速に進んだ。臓器移植や遺伝子操作が現実の課題となり、人々の意識や永年に亘って培ってきた社会的な意思決定の仕組(その中に倫理も含まれる)との間で激しい葛藤を引き起こしている。技術と人々の意識=仕組をどのように調停すべきなのだろうか。本書は、先端技術のみならず、医療の現場で、日々直面する課題、例えば医師と患者・家族の関係、インフォームド・コンセント、精神科医療では医師はどこまで介入すべきか、治療停止、安楽死、医学研究における倫理等々を取りあげ、解決策を模索したものである。
目次
はじめに[浅井篤]
I 医療現場における倫理的判断の重要性
第1章 医療現場における倫理的判断の重要性[浅井篤]
II 医療現場における人間関係
第1章 医師と患者・家族の関係[大西基喜]
第2章 看護者をめぐる人間関係と倫理[大西香代子]
III 医療現場のジレンマ
第1章 インフォームド・コンセント[服部健司]
第2章 真実告知と開示基準[服部健司]
第3章 プライバシーと守秘義務[服部健司]
第4章 患者と医療者の意見の対立[服部健司]
第5章 精神科医療における治療介入[服部健司]
第6章 高齢者医療における倫理的問題[服部健司]
IV 誕生と終末期に関するジレンマ
第1章 事前指示[浅井篤]
第2章 DNR(心肺蘇生をしない)指示[浅井篤]
第3章 安楽死[浅井篤]
第4章 人工妊娠中絶と重度障害新生児に対する医療[浅井篤]
第5章 不可逆的昏睡状態と延命治療[浅井篤]
第6章 結合双生児の分離手術[浅井篤]
V 医療現場を取り巻く問題
第1章 医療資源の配分について[浅井篤]
第2章 ヒトに対する医学研究における倫理[浅井篤]
第3章 遺伝と遺伝子の倫理[大西基喜]
第4章 倫理委員会の機能:その役割と責任性[赤林朗]
おわりに[浅井篤]
キーワード索引