内容説明
一人一人のからだの問題と政策とはどのようにつながっているのだろうか。特に性と生殖をめぐる身体の私的営為に対して行われた国家政策は、どのようなかたちで個人の身体を規制し、生活を変容させていくのかを追求するのが本書のテーマである。1957年に厚生省が始めた母子健康センター事業をとりあげ、事業開始から10年後に施設での出産が常態になっていく過程、その8年後に母子保健のための法律が作られていく過程を丹念に追跡する。私たちのからだ、私たちの性と生殖がいくつかのプロセスを経て国・地方自治体の政策と連動している関係を描く。
目次
はしがき
序論
第一章 個人の身体は政策にどのように規制されるか
第一節 本書の主題と構成
第二節 従来の研究と本書の特徴
I 国家政策からみた母子健康センター
第二章 前史――母子政策の始動と変遷
第一節 内務省時代
第二節 厚生省の成立と第二次世界大戦前・大戦中
第三節 児童福祉と公衆衛生の時代
第四節 「前史」からみた母子政策の特徴
第三章 母子健康センター事業の二二年間
第一節 事業の起案と予算獲得――一九五七年度
第二節 開所と運営――一九五八~一九六二年
第三節 普及・育成組織の結成――全国母子健康センター連合会のこと
第四節 「母子保健法」の成立過程
第五節 第一回設置要綱改正――一九六七~一九七四年
第六節 第二回設置要綱改正――一九七四年以降
第七節 「市町村保健センター」事業の創設――一九七八年以降
第四章 国家政策からみた母子健康センターとは
第一節 母子健康センターが果たした役割
第二節 政策はどのように転換したのか
第三節 政策を「推進する力」・「抑制する力」
第四節 政策の理念――母と子どもの関係
II 地方自治体政策と政策の受け手としての個人――四国地方B町の事例研究
第五章 B町の過去と現在
第一節 調査地B町のこと
第二節 B町の医療・保健環境
第六章 B町立母子健康センターの盛衰
第一節 歴史の分節
第二節 第一期〈設立準備期〉――一九五八年度
第三節 第二期〈草創期〉――一九五九~一九六〇年頃
第四節 第四期〈児童福祉施設との相乗り期〉――一九六八~一九七五年
第五節 第五期〈混迷から助産事業閉鎖期〉――一九七五~一九七八年
第六節 第六期〈母子保健事業期〉――一九七八~一九八七年
第七章 地方自治体政策からみた母子健康センターとは
第一節 なぜ公共事業は認可されたのか
第二節 政策実施過程に見られる地方自治と運営指導
第三節 地方自治体政策と国家管理
第八章 B町に暮らす人々
第一節 調査と個人史編集
第二節 母子健康センターがなかった頃のこと
第三節 母子健康センターを利用した人々
第四節 病院・診療所で子どもを産むこと
第五節 出産場所の変化と医療的処置
第六節 女性・男性・地域社会
第七節 母子健康センターを語る
第九章 政策の受け手としての個人からみた母子健康センターとは
第一節 個人・家族・地域社会と政策
第二節 私的営為と公的介入
結論
第十章 国家政策・地方自治体政策・政策の受け手としての個人
第一節 三相の横糸と四段階の縦糸
第二節 三相・四段階から導きだされる結論
第三節 母子健康センター類型化試案と事例B町の位置
第四節 母子に対する政策の理念
第五節 選択肢と矯正装置
注
資料
あとがき
引用・参考文献一覧
索引
-
- 電子書籍
- 山と溪谷 2023年 3月号 山と溪谷社
-
- 電子書籍
- 異能バトルは日常系のなかで7 GA文庫
-
- 電子書籍
- Mr.釣りどれん(14)
-
- 電子書籍
- OLときどきネパール人 光文社知恵の森…
-
- CD
- 中村幸次郎/木遣り全曲集