貿易戦争は階級闘争である――格差と対立の隠された構造

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貿易戦争は階級闘争である――格差と対立の隠された構造

  • ISBN:9784622089995

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内容説明

2021年ライオネル・ゲルバー賞に輝いた話題作。中・独の国内不均衡が米の巨額貿易赤字を生み、貿易戦争を引き起こす構造を解明。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キク

58
「貿易戦争は国家間の対立と表現されることが多いが、そうではない。超富裕層とその他大勢の対立だ」世界中の人を満たす量の食糧や日用品が生産できるまで産業は発展した。商品の運送費は無視できるほどに安くなった。金融商品の発展で世界は一つの大きな市場になった。でもなぜ、貧しい国はまだ存在するのか?国の内部で階級闘争が発生しているからだと本書はいう。本書で描かれる世界経済はとても複雑に絡み合っていた。少なくても、頑張っていい製品を作れば貿易黒字になるとかいう単純な話しではない。経済の進化(深化かも)って業が深い。2022/10/18

スダタロー

7
今日の米中2国間に見られるような対立は、実は各国の労働者・退職者を犠牲にした数十年来の富裕層優遇策に起因。中国等の産業を支えるのは低賃金の労働者であり、マクロでは富が蓄積しても国内消費が伸びない。結果、余剰資本が米国に流れることでシステムの「歪み」が生じているという構図。(ヨーロッパではドイツが中国に当たる)2021/07/23

TK39

5
富が金持ちに集まり、一般庶民の資産、賃金は減り、消費は停滞、預金により増加したカネは海外に、投資が集まった国はバブルになり、いずれ破綻、緊縮財政になり、消費は停滞、誰もハッピーにはならないという事を数字で説明していく。ドイツ人の労働者はスペイン、イタリアの労働者と同じく貧しいとは驚き。 貿易黒字は良いことではなく、内需をないがしろにした結果であり、中国もあてはまる。もちろん日本も。 国内投資を活発化させて、一般庶民に再びカネを回すことが必要。著書は心情的にはトランプは嫌いそうだが、やったことは一定正しい。2021/06/27

好奇心の横断歩道を渡る!

3
所得格差の拡大と貿易戦争の激化の結びつきを指摘している点は、とてもとても素晴らしいと思う。サプライチェーンが複数の国にまたがるようになったので、完成品だけをカウントする貿易データが実態を反映しなくなった、というのもわかる。ただ、貨幣感がおかしい。私はいつの間にか、商品貨幣論前提の話を苛立ち無しには読めなくなってしまったようだ。MMTerが同じテーマで書き直さないとな。2021/11/15

あつもり

3
多国籍企業は国際競争を口実に労働者の賃金抑制を進めることで収益の拡大を図ってきたが、その結果、各国では深刻な消費の停滞が生まれ、また、過剰な貯蓄はアメリカやEU南部国等への投資となってバブルを発生させてきた。悲惨な方向に向かう前に貿易戦争を解決するためには、所得を企業や富裕層から一般の労働者にシフトし、内需拡大を進めるべきである。現状は「超富裕層が他の国民に階級闘争を仕かけ、成功してきた」ものであり、「現在の貿易交渉はこうした問題に一切取り組まないのだから、ほとんど成果を得られない」(P.274)。2021/07/03

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