内容説明
造艦技術の研鑽の果てに誕生した世界を驚倒させた「大和」型戦艦―欧米列強に勝る戦艦を保有するため、大艦巨砲の道を極めた日本海軍八十年の足跡を辿る。重厚さと構造美を合わせもつ日本戦艦の全容を大戦下の十二隻を軸に、各国主力艦との比較を交えて詳解するビジュアル版“戦艦”徹底解剖。写真図版二百点。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
9
日本の戦艦こそ、人間が作り得た武器の中で最高の芸術品であると断言する著者が、その戦艦愛を存分に注ぎ込んだ名著。戦艦前史である戦列艦、装甲艦から話を始め、三笠、ドレッドノートといった名艦にもふれつつ、本題で大和型から長門型まで、連合艦隊戦艦のスペックと生涯を描いている。戦艦史の到達点である大和型を扱って以降は金剛型から長門型まで時系列順で話を進めていて分かりやすい。ジュットランド沖海戦をきっかけに生まれた「ポストジュットランド型」(ビッグセブンとか)という区分はこの本ではじめて知った2014/05/06
NICK
5
現代では核兵器による抑止力が国防戦略の一端を担っているらしいが、かつては戦艦の数、性能こそが他国への抑止力となっていた時代があった。今でこそ戦艦なんて艦種はもはや本や博物館でしか見られない時代遅れの産物であるが、しかし国防の要であった戦艦には当時の持てる造船技術の粋が集められていたのだ。長門型や大和型に特に顕著だ。やはり日本の技術はスゴイ! と思いきや超弩級戦艦扶桑型、伊勢型は欠陥が多かったらしく、なんだか拍子抜けする。戦場を自慢の高速力で駆け回った金剛型の記述もアツくて良い。図版も多く参考になる2014/07/31
むらきち
4
こういう本は堅くて読みにくくなるのが常なのですが、この本はよく噛み砕かれ分りやすく読みやすい。 プロローグで現在、過去の足跡や位置付けをしっかり説明しているのも良かったし、資料や解説も申し分ありません。入門書として最適ではないでしょうか。2011/04/08
しんのすけ
3
この本に掲載されている戦艦の名前はなんとなく覚えていた。一般的には大和や武蔵が有名だか、この本にはそれぞれの戦艦の生い立ちから最後までが細かく描かれていて、あたかも感情を持った人格者のような印象を受けた。長門の最後は日本人として誇りに思うとともにもの悲しく感じて、あの大戦の悲劇というものを当時の印象的な日本人のように表されていたと思う。当時の軍艦は芸術品だと私も思う。2024/02/16
【すとちゃん】
3
いきなり第一章で大和・武蔵を取り上げていたので、後半はつまらないか?と思ったが、最終第五章の長門・陸奥まで飽きることなく読めた。文庫本ながら写真・図・表をふんだんに載せ、それぞれの誕生から最後までを逸話などを交え解説。また、同クラスの諸外国の戦艦との比較もあり、まさに入門書にふさわしい内容。最終章に史上最大の戦艦・大和ではなく、長門を持ってきたのは、筆者が書くように「日本海軍の名誉と誇りを示すかのような、美しくも雄々しい最後」を迎えたからであり、そう考えると色々と感慨深いものがある。2009/12/30