ちくま新書<br> デジタルで変わる子どもたち ――学習・言語能力の現在と未来

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ちくま新書
デジタルで変わる子どもたち ――学習・言語能力の現在と未来

  • 著者名:バトラー後藤裕子【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2021/05発売)
  • 盛夏を彩る!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~7/27)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480073969

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内容説明

小さい頃から動画をたくさん見るとどんな影響があるのか? SNSを長時間使う子は読解力が低い? 紙とデジタル媒体では、どちらで読むほうが正確に読めるか? ICT教育のメリット・デメリットは何か? デジタル技術の急速な普及で、子どもたちの学習環境は大きく変化しており、考えるべきことは山積みだ。本書は、日本のみならず、海外の最新の研究をもとにデジタルと「学び」の関係を丁寧に分析する。これから先の教育を考えるうえで必読の一冊。

目次

はじめに
デジタル・テクノロジーと教育
本書の内容
用語の整理
第1章 デジタル世代の子どもたち
1 デジタル世代の登場
デジタル世代とは?
デジタル・テクノロジーの歴史
デジタル世代を取り巻く環境
2 デジタル世代のテクノロジー使用状況
アメリカの状況
社会経済的地位との関係
日本の状況
3 デジタル・コミュニケーション行動の特徴
デジタル・テクノロジーを介したコミュニケーション
情報共有の特徴
デジタル・テクノロジーに欠落しているもの
4 デジタル世代の嗜好と考え方
デジタル世代のテクノロジーへの態度
日本の大学生の実態調査
5 デジタル世代に必要とされる能力
21世紀型スキル
日本のICT教育の遅れ
コンピテンシーの習得度格差
本書でこれから見ていくこと
第2章 動画・テレビは乳幼児にどう影響するのか?──マルチメディアと言語習得
1 乳幼児はテレビ・動画視聴を避けたほうがいい?
マルチメディアと言語発達
乳幼児のテレビ、動画、アプリ使用
テレビ・動画視聴時間の影響
2歳以下はテレビ・動画視聴を避けたほうがいい?
2 なぜテレビ・動画視聴がプラスに働かないのか
テレビ・動画の複雑な仕掛け
2歳までの「見る力」
注視は理解を意味するか
3 「ビデオ不全」
「ビデオ不全」問題
ビデオ不全はなぜ起こるのか
2歳以上で言語発達を促進する視聴の条件
4 相互交渉
どのような相互交渉が大切なのか
ストラウスらの実験
バックグラウンド視聴に注意
子ども向け外国語学習アプリ
まとめ
第3章 デジタルと紙の違いは何?──マルチメディアと読解力
1 「読む」とはどんな行為か?
デジタルと紙媒体での読解
デジタル絵本・物語本とは何か?
「読む」とはどういうことか
意味にアクセスする前に音に変換?
音と表記との関係
浅い表記と深い表記
読解の複雑性
2 デジタル絵本・物語本と「読む力」
デジタル絵本・物語本は「読む力」を助けるのか?
どのような内容・条件が効果的なのか
さまざまな機能がプラスに働く場合
3 デジタルと紙の違い
紙の絵本を捨てるのは待った!
デジタル媒体と紙媒体で「読み」は違うのか
デジタル・デザインの視点から「読み」を考える
テクストは目だけでなく、手で読む?
紙媒体はペアワークでのアイコンタクトを促進
現実のデジタル媒体での「読み」はもっと複雑
ハイパーリンクの利点と落とし穴
4 どう使うのがいいのか
使いわけの大切さ
まとめ
第4章 SNSのやりすぎは教科書を読めなくする?
1 SNSの「打ちことば」
SNSと読み書き能力
「打ちことば」とは何か
日本語打ちことばの特徴
2 打ちことばが与える影響
ハムレットも2B or 2b (not)=?
打ちことばの影響はGr8 Db8
プラスにはたらく英語ならではの理由
打ちことばがマイナスの影響を与える場合
まだ見えていないこと
SNS使用の急速な変化
3 日本の子どもたちへの影響
本当に教科書が読めなくなっているのか?
都内公立中学での調査
学習語彙習得への不安
4 今後の課題と提案
詳細な実証研究の必要性
リテラシーのとらえ方の再考の必要性
学校でのSNS応用例
まとめ
第5章 デジタル・ゲームは時間の無駄か?
1 デジタル世代のゲーム使用の実態
ゲームの大きな影響力
ゲームとは何か?
デジタル・ゲームとその種類
デジタル・ゲームの使用実態
2 ゲームは学習に有効か?
ゲームは教育現場で有効な学習ツールになりうるか
言語習得に重要な要素①意味のあるインプットと言語使用
言語習得に重要な要素②認知的にチャレンジングで、楽しいタスク
言語習得に重要な要素③繰り返しの効用
3 学習へのゲーム応用の潮流
長時間プレイヤーの認知プロセスの特徴
子どもの視線から見た英語学習デジタル・ゲーム
子どもたちが考えたゲームに内在する動機づけの要素と学びの要素
子どもたちが重視するデジタル・ゲーム要素
ストーリーの重要さ
意外性の持つ意外な役割
学習に競争はいらない
外国語学習におけるデジタル・ゲームの可能性
まとめ
第6章 AIは言語学習の助けになるか?
1 AIの発達
AIとは何か?
AIの歴史
2 子どもの言語学習における社会ロボットの効果
社会ロボットとは
社会ロボットを子どもはどう思うか
言語学習における実証研究
社会ロボットを使う条件
情動面でのメリット
新規効果の可能性も拭い去れない
3 外国語教育にAIをどう活用するか
AIの可能性と現状
AIベースの学習ツール
期待できること、危惧すべきこと
AIとアセスメント
4 機械翻訳と言語学習
機械翻訳の進化
機械翻訳の現在の実力
外国語学習はいらなくなるのか
まとめ
第7章 デジタル時代の言語能力
1 コロナ禍の影響
学校閉鎖で見えてきたこと
アメリカの対応
中国の対応
オンライン授業のメリットと問題点
デジタル・テクノロジーは新しいコミュニケーション形態
2 言語習得・言語使用の本質
言語使用における身体性の重要さ
言語習得・言語使用は社会性の中で起こる
言語習得・言語使用は感情や情緒の伝達を本質に持つ
デジタル・テクノロジーを含めた新しい言語教育
3 デジタル時代に必要な言語コミュニケーション能力
包括的なアプローチの必要性
基本的言語知識
自律的言語使用能力
社会的言語使用能力
創造的言語使用能力
4 これからの言語教育
デジタル・リテラシーを身につける
児童・生徒の言語使用・認知スタイルを理解する
タスクを用いた言語教育法
反転授業
評価の新しいアプローチ
デジタル・テクノロジーと倫理の問題
まとめ
あとがき
引用文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nobu A

9
バトラー先生著書3冊目。21年刊行。相変わらず学術書寄り。相変わらず示唆に富む。デジタルネイティブ世代とICT教育の関係性がテーマ。教育のデジタル化の変遷を紐解きながら、今後どうのように向き合っていくべきか最新の知見を基に緻密に分析し明晰な考察を挿入しつつ展開。テクノロジーが幼児や多感な年代の言語習得にどのような影響を及ぼすかのデータが蓄積不足の現実。まだ始まったばかりの黎明期。もどかしいが、現状を把握出来たのは収穫。デジタル・テクノロジーは今後も加速的に進化するだろう。結局、溺れずどう活用するかが鍵。2023/03/10

ユーユーテイン

9
どんなことでも身体化がなされないと、自在に使えるようにはならない、ということが印象に残った。教育といえば「読み書き算盤」だったが、その身体化は達成された。現在はデジタル機器が登場して、その身体化の過程だと思った。デジタルを使った認識の仕方は、デジタルを使わない世代の認識の仕方とは異なる。デジタルネイティブ世代が養成すべき言語の力を、文法や語彙などの基礎的な言語の知識と、それを基にして言語を自律的、社会的、創造的に使う能力だと提示している。デジタルを取り入れた教育を考えるための示唆に富んだ本。2022/01/21

totuboy

9
コロナ休校を期にGIGAスクール構想を強力に推進している現在。今一度、ICT教育の有効性を確かめる必要がある。タブレット端末はあくまでも「手段」であり、それさえ使えば何をやってもいいという「目的」ではない。しかし、オンライン授業や個別最適化の学び、ということが言われるようになり、それを勘違いしてしまっているきらいがある。本書ではあくまでも科学的な分析を試みている。結局はそれを人間がどのように活用するのか、ということが大切であり、人の手は絶対に必要だと改めて認識。2021/05/23

元気伊勢子

8
デジタルとどう向き合っていったら良いのか考えてみようと一読した。早期教育と言われているが、早くやれば良いというものでもない。紙媒体を使用する方がコミュニケーションが増えるというのも確かにと納得した。2022/09/11

てくてく

7
デジタル時代の学習・言語能力の習得に関する本。小学生に英語学習ゲームを作らせてみた研究と、コロナ禍の影響を受けたオンライン学習の国内外の教育業界の対応の箇所が興味深かった。ただ、著者が指摘する教師や保護者、社会の役割については、それに応えることができる保護者というのは、私も含めて存在し得るのだろうかと、そのあたりを可能にするためにはどうすべきなのだろうかと思った。2022/03/07

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