数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた

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数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた

  • ISBN:9784622089643

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内容説明

人類はかつて数を知らなかった。数を持たない社会の人々、幼児や動物の量の認識、諸言語に残る痕跡を通して、数の発明の経緯を探る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

83
著者は、「マイアミ大学人類学部教授、同学部長。専門は人類学・言語学。言語と非言語的な認知・文化・環境の相互作用に関心を持つ」とか。彼の「父は『ピダハン』の著者のダニエル・L・エヴェレット。幼少期に、宣教師の父とともにピダハン族の村で過ごした」という。その体験が研究のベースにあるようだ。内容案内には、「ピダハン族などの数を持たない人々の社会や、乳幼児と動物の量の認識、世界の言語に残る痕跡を通じて、数の発明という忘れられた人類史の転換点を探る書」とある。2021/10/14

hatman

12
L ピダハンの著者の息子による数の発明の探求。人類が数を認識し始めて2~3千年。数は現代までの発展の基礎として特定の文化に根ざしている。時計の60進法はシュメールやバビロニアで使われていた名残、12進数はエジプトの日中10分割+日の出前と日没後が由来。数のベースは手の指だと思われるが、指の関節や指の間などで8,12,60進法が作れる。数えることは3つくらいまでは生得的にあるが、それ以上は訓練が必要。よって数の概念は文化によって体得される。ピダハンはその数の文化を必要としなかった。農業・工業・宗教がないから2022/12/23

ぬらりひょん

11
生まれてすぐの赤ちゃんでも「3」までの数は生来正確に弁別できる。がそれ以上の数となると数詞が発明されて初めて厳密に認識できるようになった。著者はそのほとんどは言語や文化のみからいつの間にか生じたものではなく、人間の「手(指)」の対称性から生まれたものであると考える。人間は数詞を発明することによって、概念を表象する道具を得た。チンパンジーも幼児程度の知能がありながら、その能力を伸ばさなかったのはなんでだろう?ピダハンやムラブリが数詞や文字を持とうとしないのはなんでだろう?知らない方が幸せだったからかな?2023/06/02

jackbdc

9
著者の父は「ピダハン」のエヴェレット氏であった。熱病に罹ったエピソードなど記憶に新しい。知人の子供の成長を喜ぶような(一方的な)感慨を抱いてしまった。本書にもピダハン族のフィールドワークの知見が含まれている。3を超える数を示す言葉が存在しないという。父の著作にも数を教えても関心が得られず習熟もしないという話題が紹介されていた。別の環境で育った子は数を使いこなすというから、遺伝ではなく環境:言語や言語を通じた量の識別能力の問題である事が理解できる。数の概念が後天的能力であるというのは実感と異なるため驚いた。2021/11/03

清水勇

8
「なぜヒトだけが言葉を話せるのか」で言葉の起源を探ったが、この本は数の起源を探る旅で同様に楽しめた。著者は子供の頃「数」を使わない先住民族との生活経験を端緒とし世界中の言語の分析を通し幼児や類人猿の数認知の研究成果も活用してヒトが数を認知し数の言葉を生み出した経緯を丁寧に説明。驚いたのは哺乳類、鳥類、魚類も3つまでの数は正確にそれ以上の数は大まかに認知する能力を有すること。その中でヒトだけが数の実体を把握して使いこなし現在の豊かな文化を作り上げるには仲間同士で協働しようとする意欲が鍵であることは納得。 2021/10/30

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